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開催日時:平成31年3月26日(水曜日)13時30分~16時00分
場所:高知県立大学永国寺キャンパス
参加者:高校生8名 引率教員1名
運営:井上正隆講師(高知県立大学)・永井真寿美助教(高知県立大学)
高校生の間から看護学に触れ、看護学への関心と考察を深めてもらう目的で、公開講座を開催しています。本講座は、本学在校生と高校生でつくる小グループでのグループワークを基本としています。高校生と一緒に、看護について自らで考え、一緒に語らい、考えを深めていくことにチャレンジしています。
第2回は、「看護とは何か?」のテーマで開催しました。はじめに、「看護とは何か?」を考えるうえでヒントとなる、「看護」の定義について紹介しました。ナイチンゲールや国際看護師協会、日本看護協会などが、看護とは何かについて、多くの言葉を用いて説明しています。参加した高校生は、『人によって定義は違う』との気づきを得ていました。
次は、参加者で定義をすることを体験しました。例題として「春」を挙げ、それぞれのグループで、「春といえば?」といわれて思い浮かぶことを書き出しました。これは、「春」の定義を考える過程での、構成している要素(例えば、七草、桜、入学式、虫、子どもの日、など)を挙げる段階にあたります。それぞれのグループによって、挙げられたワードは様々でした。この違いが、最終的に考えた「春」の定義の違いにつながっていました。
次は、約3分間の映像を見て、グループ毎に、強調して描かれていると思った場面を挙げていきました。そして、その場面が強調して描かれている理由も考えてみました。講師は、『看護では、起こっていること(現象)を丁寧に読み取り、何が起きているのかを捉えることを大切にしています』と、高校生に伝えました。
最後に、トラベルビーが「人間対人間の看護」の中に記した、看護の定義を紹介しました。トラベルビーは、看護とは対人関係のプロセスであると書いています。他にも、:星の王子様(サン・テグジュペリ)や、ケアの本質(ミルトン・メイヤノフ)を題材に、それぞれに共通している部分があることを読みとり、看護に必要となる要素は、哲学や文学の分野でも用いられているものであることを学ぶことができました。
高校生にとって「看護とは何か?」を考えることは難しい課題でした。参加した高校生からは、『難しかったけど考えることができた』、『自分が今まで思っていた以上に看護というのは深いものだと分かった』との感想があり、深く思考することを体験できたようでした。また、『保健師になりたい!看護の仕事をしたい!という夢はあったけど、どんな看護師になりたいのか、どんな看護をしたいのかというのは、どうやって見つけたらいいかわからなかったが、今回参加して見つけるきっかけになった』と言っていただきました。本講座で仲間とともに、現象を丁寧にひもとき、その中にある要素を見つけ出す学習ができ、高校生自身が考える「看護」を見つけるきっかけになりました。
開催日時:平成30年10月28日(日曜日)13時30分~16時00分
場所:高知県立大学永国寺キャンパス
参加者:10名
運営:井上正隆講師(高知県立大学)・永井真寿美助教(高知県立大学)
看護学部では、新たな試みとして高校生のための看護学を学ぶ公開講座を企画し、10月28日に第1回公開講座を開催しました。この講座は、高校生の間から看護学に触れ、看護学への関心と考察を深めてもらう目的で行われました。
第1回公開講座では、「看護の複眼的思考」をテーマに、複眼的思考とは何か、複眼的思考を持つことの体験、さらに複眼的思考が看護学になぜ必要かを学びました。講座は、能動的な学習を意図して、看護学部でひろく行われているグループワーク形式で行われました。参加した高校生にとっては、難しいテーマであり、また初めて会う人たちとグループワークをすることに少し緊張した表情でした。しかし、ファシリテーターの看護学部生の誘導もあり、自己紹介が終わる頃には打ち解けた様子でした。
講座のプログラムは、全部で3部に分かれ、はじめに「複眼的思考の体験」をテーマにして、複眼的思考とは何かを学びました。ここでは、ことわざが持つ辞書的な解釈以外の解釈ができないかを題材にして、多様で複数の解釈を考えること解釈の微細な違いを大切にすることを学習しました。
グループメンバーの意見を聞いているうちに、『豚は真珠をもつことで自信を持てる』など、様々な新しい視点が生まれ、深く考えることができたようです。この題材を通して、『初めのこれで想像力が広がった。』『自分の考え以外の相手の考えを取り入れることの大切さを感じた』との感想を寄せてくださいました。
次のテーマは「価値の発見」で、一方の視点からは理にかなわない、納得できないと感じることも別の立場から考えてみることを体験しました。ここでは、まず事例を読んで、どのような人たちが関わっているかを考え、次に事例には出てこないが、事例に関係する人たちを挙げる作業を行いました。さらに、それぞれの人々がどのような考え、願い、心情、権利を持っているのかを考えました。この中で、特に自分の意見ではない意見を考える、理解できるように想像することを重視して、テーマに取り組みました。
課題を通して、できごとにはたくさんの人たちが関わっていて、その人たちがどのようなことに価値をおいているのかを考えると、見えていること以外にもたくさんのことが関わっていることがわかり、『なんで?どうして?を深く深く考えることの楽しさ、それを相手と話して、また、なんで?と考える、この繰り返しが、頭を使って難しいことだけれど、答えがないとことも面白かった』との感想がありました。
3つめは、これまでの学習を基に「概念のイメージ化」をテーマに取り組みました。「概念」とは、看護学で用いられる大切な用語ですが、目の前に起こっていることがどのような意味を持つのか考え抽象化することであり、科学的に看護ケアを行うための大切な基盤になります。
ここでは、ヨシタケシンスケさんが作られた「もうぬげない」という絵本を用いて、どのような場面が印象的だったか、なぜ印象的だったかをグループワークで探し出し、全体で発表しました。「もうぬげない」は、幼児がお風呂に入る時に自分で服を脱ごうとするのですが、上手に脱げず、脱げない状況の中で様々な想像を膨らませていくお話しです。
参加した高校生の中からは、印象に残った場面として、主人公のこどもががんばって一人でできるようになろうとする場面やその場面から派生して、それを見守る母親の様子などが挙げられました。また、同じ悩みをもつ仲間を見つけて、一緒に遊ぶシーンから、『すぐに仲間を見つけて、一緒に助け合うところがいいと思いました』という意見が出されました。
最後に、複眼的思考を持つための方法の一つとして、読書の重要性について講師から説明があり、「本を読んだ時に感じたことや考えたことをメモにして挟んだり、書き込んだりしておくと、看護学生になった時、看護師になった時など何年後かに見直した時に、そのメモが大切なヒントをくれます。読むタイミングに合わせて考え方も変わっていくと思うので、同じ本を読むことで自分の変化や成長を感じることができると思います。」とメッセージが伝えられました。
今回の公開講座で看護学に触れた高校生からは、『身近なところから考えられる看護について、よく分かりました』、『看護を考えたい、学びたい』、『複眼的に考えることは難しいことだと今日改めて実感した上で、看護師という職にチャレンジしていていきたいと思えました』との意見がありました。
これからも、こうした公開講座を開催する予定です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催日時:平成30年4月27日(金曜日) 9時30分~12時00分
場所:高知県立大学池キャンパス
参加者数:6名
講師:佃 雅美助教(高知県立大学看護学部)
演習担当:坂元 綾助教・森本 紗磨美助教(高知県立大学看護学部)
平成30年度看護学部第1回公開講座を開催しました。第1回は、保健師対象の採血技術向上研修です。6名の保健師の方々にご参加いただきました。参加理由は、感染症対策部門の配置となり今後採血技術を行う可能性があるから、災害時や集団感染症等の発生時などに備え、参加したなど、参加理由は様々でした。
始めに、本学の佃雅美助教より採血に関する基礎的知識に関する講義がありました。講義で採血技術に関する知識を確認した後、モデル人形を使った演習を行い、技術をしっかりと確認してから参加者間で採血を実施しました。参加者は、必要物品の準備から物品の配置、穿刺部位の決定、対象者への説明から実施まで一連の流れを、一つ一つ丁寧に復習しながら行っていました。
研修終了後のアンケートでは、参加者の方々より「すぐに採血業務に従事するわけではないですが、時々復習して備えたい」「駆血帯の巻き方の練習が必要と感じた」などの感想をいただきました。
これらを踏まえ、今後の公開講座の企画・運営に活かしていきたいと思います。
解剖生理を再確認しながら行いました
モデル人形への実施
参加者間での実施