東原 伸明(研究者情報)
職位 | 教授 | |
役職 | ||
所属 | 文化学部 文化学科、大学院 人間生活学研究科(2004年~) | |
教員紹介 | ![]() |
大変に「便利」で「不便」な私 私が大学の頃の授業に、「コンピューターリテラシー」というような科目は無かった。そもそもパソコンが普及する以前であったから、現在のような携帯メールも、ネット通販も存在しない。当然、レポートも論文も手書きで、下書きをした後、苦労して原稿用紙に清書をした。卒業論文も手書きである。学部四年で就職する学生たちにとっては、「人生初めて」で、恐らく「二度とはしない厳粛な体験」であっただろう。同輩の友人が、「産みの苦しみだ」と嘆いたことばをよく記憶している。私自身は、進学したので修士論文の執筆で再度この経験をし、ワープロで論文を執筆するようになるまで、同じ苦しみを幾度となく味わった。だが当時の私は、そうした手書き的な常識を「不便」だとは感じなかった。下書きが、そのまま清書になるワープロは、たしかに「便利」なツールだが、その「便利」さは、ワープロを知った現在から過去を振り返った時の感覚に過ぎない。ワープロ執筆により手書きの数倍、原稿の執筆量は増え、比例して外注の依頼も増えた。締切日に間に合うように郵送しなくても、メール添付で送信、締切の当日に間に合ってしまう。昔ならば地方大学に在職する私などには来ないような東京からの原稿依頼も、編集者が請求に困らないからだろう、頻繁に来るようになった。むろん、締め切りを破らないという信義が最低条件である。昨年のこと、「同じ締切日で、分量50枚『源氏物語』の論文原稿を同時に二本執筆してほしい」という無茶な依頼を受けた。ともかく締め切りを守り、期末の忙しい時期に、更にその校正に苦しめられる結果となった。「便利」さとの引き換えに、これほどの代償を被らなければならないとは……。慢性的な肩凝りと腰痛に悩まされている私は、大変に「便利」で、同時に「不便」な世の中に生かされているらしい。 |
学位 |
博士(文学)(名古屋大学、2009年) |
学歴・職歴 |
【学歴】 【職歴】 |
専門分野 | 『古事記』『土左日記』『源氏物語』などの古代散文文学 |
所属学会 |
中古文学会 |