#12  文旦とは/健康栄養ちょっといい話

 

文旦は、東南アジアから中国南部、台湾が原産です。日本へは江戸時代の初めに渡来しました。文旦の樹は高さ3 mほどになります。果実は淡緑色から黄色で、独特の甘みと風味のある果肉と、非常に厚くてスポンジ状の果皮(皮の部分)が特徴です。また果実は柑橘類では最も大きく、0.5〜2 kgになります。

全国一の集荷量を誇る土佐の「文旦」は、高知を代表する果物で、露地栽培とハウス栽培の「土佐文旦」と、ハウス栽培で糖度が高く上品な甘さの「水晶文旦」とがあります。文旦は露地栽培の場合、通常9月ごろから果実が肥大し、11月頃から着色、12月から1月の間に収穫されますが、2月〜3月に出荷されます。収穫直後の文旦は果皮が硬く、香りも少ない、またとても酸味が強いのでとても食べられません。追熟する事で次第に果皮が柔らかく、香りと甘みが増し、酸味が減ります。そして、文旦独特の香りと濃厚な甘さと爽やかな酸味が調和し、一口食べると果汁が口いっぱいに広がります。

この文旦の独特の魅力ですが、1つは糖質にあるかもしれません。果物の糖質は大きく分けてブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の2つからなります。ブドウにはその名の通りブドウ糖が多く含まれています。一方、文旦には最も甘みの強い果糖が多く含まれています。果糖は糖質の中でもっとも小さな分子なので消化吸収が早く、すばやくエネルギーに変えることができます。このため、肉体疲労時や激しいスポーツの前に摂ると回復を早めます。

さらに、文旦はお肌に良いと言われているビタミンCの含有量が柑橘類の中でもトップクラスです。文旦100g中に含まれる果肉のビタミンC含有量は45 mgですが、果皮には200 mgと特に多く含まれています。ビタミンCは肌の保水性を高め、抗酸化作用を持つことから、乾燥肌の予防や老化予防が期待でき、肌を守るバリア機能の効果が期待できます。

文旦の果肉はそのまま食べられることはもちろんのこと、東南アジアでは和え物の材料として使用されます。加工食品の原料としても用いられ果皮はマーマレードやザボン漬け(皮の白い部分を使って作られます)にして食べることができます。

 

高知県立大学健康栄養学部健康栄養学科