高知県立大学同窓会

しらさぎ会

高知県立大学

二つの卒業式

二つの卒業式   
            清原泰治(学長特別補佐・地域教育研究センター長)
             
 3月21日、本学主催の卒業式が挙行され、278名の学部卒業生と、19名の大学院修了生が学窓を巣立っていきました。しらさぎ会のみなさまには、卒業生たちの在学中、多方面からご支援をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
 本学の卒業式に先立って、学生たちが活動している地域で、二つの小さな卒業式がありました。3月3日のこです。本学には立志社中という、地域の課題に地域のみなさまと共に立ち向かう、「志高き若き志士」たちがおります。平成29年度は10チーム、約360名の学生たちが、それぞれの地域で活動してきました。
 立志社中に活輝創生実行委員会というグループがあります。主に、佐川町尾川地区、津野町白石地区で活動しています。「絶対現場主義」という旗を掲げ、地域のみなさまと密度の高い交流を続けながら活動しています。何度も何度も足を運んで課題を聞き取り、学生たちが企画書を書き、その企画書をもとに地域のみなさまと話し合い、修正し、実施する。そういう営みを続ける、文化学部と社会福祉学部の学生たちです。
 密接に関わっているからなのでしょう、尾川地区では昨年から、白石地区でも今年から、地域のみなまが卒業式を開催し、学生たちの門出をお祝いしてくださっています。
 尾川地区の卒業式は集落活動センター・たいこ岩で開かれました。尾川地区活性化協議会会長・澤村重隆様をはじめ、活性化協議会のみなさまと共に、掘見和道・佐川町長様もご夫妻でご列席いただき、餞の言葉をいただきました。そして、出席した5名の学生たち一人ひとりに「卒業証書」をくださっています。卒業証書には、「あなたは佐川町尾川で地域活動の全課程を修了したことを賞します」と書かれています。ハナモモの記念植樹もさせていただきました。
 白石地区の卒業式も、同じ日にありました。両地区で活動させていただいていた4回生たちは、活動の頻度が高かった地区でお祝いしていただくことになりました。白石地区では3名の学生が出席しました。白石地区活性化検討委員会のみなさまのほか、たくさんの地域の方がご列席くださり、卒業式のセレモニーが行われました。いただいた「学位記」には、その学生がどのような活動に参画したか、そして、地域から見えている学生の人柄まで書かれており、最後に感謝の言葉が添えられています。
 これらの二つの卒業式は、学生たちがどれほどその地域のみなさまと力を合わせて活動したかを示すものであり、学生たちが地域で愛されてきたことの証であると思っています。そして、学生たちは、これらの地域のみなさまに育まれ、見事に成長してきたのです。小さな卒業式ですが、人の心の温かさを肌で感じることのできる、心のこもった巣立ちの儀式でした。
 域学共生という考え方には、地域と大学が共に生み出すという意味が込められています。立志社中の学生たちは、確かに、地域と大学が生み出した、「志高き若き志士」たちだと思っています。