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【レポート】神原准教授が手掛けるEpiNurse Nepal が国連防災Global PlatformでRisk Award 2017を頂きました。





去る5 月24 日~26 日、メキシコ・カンクンで開催された国連防災グローバルプラットフォーム会議が開催されました。

Global Platform 2017
http://www.unisdr.org/conferences/2017/globalplatform/en

国連防災グローバルプラットフォームとは、国際的な防災枠組みの推進状況を評価するために、政府機関、国連機関代表の他、地方自治体、民間企業、専門家・学術研究者、NGOなどの世界の防災関係者が一堂に会する会合です。国連防災戦略事務局(UNISDR)の主催で2年毎に開催されています。兵庫行動枠組みから、仙台防災枠組みに代わってから初めての会合とのなる今回は「The commitment into Action」がテーマとなりました。

そのような機会に、ネパール看護協会と取り組んでいるEpiNurse Nepal プロジェクトがリスクアワードを受賞しました。
EpiNurseとは、神原准教授が開発中の地域の健康危機管理のための看護モデルです。具体的には、自然災害などの健康の緊急事態を見据えて、平時からの災害時に陥りやすい健康危機(水・食糧・生活環境・徴候/症状)の地域に住んでいる看護師に測定と空間情報的な定点観測と統合した、健康危機の定点観測と緊急事態のアラートです。看護の視点から平時の地域システムの応用や地域住民のマンパワーやリテラシーなどを包括的に検討しています。
中核をなす避難情報アプリ「Sherepo」は東日本大震災の教訓に基づき日本で開発され、実証実験を行ってきているものです。それにフィリピンで「eBayanihan(“Bayanihan”はフィリピン語で共同生活帯、特定の目的を達成するための努力の精神を指す)という迅速に必要な支援に関する情報を収集するシステムを統合して、その後、台風ハイエンの被災地であるタクロバンにおいて実証するなどし、グローバル展開のための開発を行っていました。
そのような蓄積から、2015年、ネパール、ゴルカ地震で影響を受けた全12郡で約1年間、避難移住した人々の、衛生・生活情報データ共有の為に、看護師の育成とモニタリングを行いました。そこで新たに災害看護の関心が高まりやEpiNurseの更なるニーズがあったことを受け、研究開発を継続していました。今回の受賞はその研究計画に対して与えられたものです。今後2年間で地域での持続可能な活動のための成果が求められています。
受賞理由は、期待される費用対効果が高い、革新的な防災というより人間の安全保障に必要不可欠、アウトリーチしにくいところへのソリューション、地域の女性力の可視化、数か国の教訓からなる普遍的な理論と文化的配慮があり地域持続性が期待できるなどでした。グローバル展開できる方法論と評価されています。今後2年、いかに持続可能なシステムを作って終えられるかが重要です。

DNGL院生はEpiNurseの活動の中でも各所のフィールドワークを行ったり、ミーティングに参加するなど通して研究プロセスを学んできました。またこの研究に参加することでDNGLに関心を持ち留学してきた学生もいます。DNGL院生の新たな活動も期待されてます。

EpiNurse は以下のWebから詳細をみることが出来ます。
https://www.epinurse.org

以下、Risk Award の概要
リスクアワードとは、Global Risk Forum Davos (GRF)が主催する国際災害・リスク会議(IDRC)とUNISDRが主催するグローバルプラットフォームによってリスク削減と災害管理の分野の優秀な事業計画に対して2年ごとに1件表彰されているものでMunich Re Foundationから10万ユーロが授与されます。行われ RISK Award 2017のテーマは「情報とコミュニケーション:Disaster Risk Reduction(DRR) とDisaster Risk Management(DRM)のための革新的なコンセプトと技術」、というのは、「影響を受ける人々のニーズ、文化、スキルに合わせた現代的なコミュニケーション技術の有効利用が、災害の深刻な結果に対処するタイムリーなツールであることを証明する革新的なプロジェクト」が条件でした。

国連仙台防災枠組み2015-2030のなかでICTは減災の中で重要な役割を果たしています。減災分野での課題の現状は、ICT技術の開発ではなく、活用してカスタマイズされたソリューションを提供できるかというところにきいます。解決策は、新しいテクノロジーを使用するか、または確立されたメディアのための革新的なコンセプトを開発することです。
審査内容は、①使いやすさ:目標とするグループ(危険にさらされている人々)が、災害や緊急避難などのストレスの状況においても、新技術を理解して使用できるように備える必要られるよう設計されていること、②波及効果:技術がいかに多くの人に到達するか、また危険にさらされやすい人にいかに多く届いているか。緊急時に重要な場所に警告が届かないというリスクがある。必要な人に到達するためには、明確な戦略が重要である。③信用:災害時の意思決定は生計手段が失われるのと同じくらい、人生や身体にとって大きなリスクになる。ICTによる警告が信頼でき、送信者と受信者の間に信頼関係があることが重要である。メッセージが受信者によって真剣に受け入れられない場合役に立っていないのと同じことである、などでした。






このプログラムは、文部科学省「平成24年度博士課程教育リーディングプログラム」に採択されて実施しています。