HOME活動報告 > 韓国サイバー大学の訪問調査

韓国サイバー大学の訪問調査


simulation
平成25年1月14日と15日に、遠隔授業が進んでいるといわれている韓国のサイバー大学数校と韓国教育科学技術部を訪問し情報収集をしてきました。訪問した施設は、以下の通りです。

・ソウルデジタル大学

・漢陽サイバー大学

・慶熙サイバー大学

・ソウルサイバー大学

・韓国教育科学技術部

本調査には、高知県立大学、兵庫県立大学、千葉大学のメンバー9名が参加しました。

韓国は、1980年代から、産業界の発展とともに、国家としてe-learning化に取り組んでいるそうです。そして1990年代には、未来の情報化およびその対応ということで、人的な資源開発に力を入れているそうです。政府はe-learningの教育をする人を育成するために、民間と一緒に大学への支援を行っています。2000年代初めには、中等学校のネットワーク基盤を整え、新しいコンテンツの開発へと繋げて行っており、2014年には、初等・中等教育において、デジタル教科書をスタートするそうです。

一方、高等教育では、1996年に生涯学習社会の実現を目指して、人的資源開発の計画を立てられ、その中でe-learningが用いられています。

サイバー大学は2000年の認可から、現在21大学が展開してそうです。サイバー大学は、生涯教育として、成人になってもいつでもどこでも学ぶことができる環境作りを目指しています。

通常大学でも、e-learningは低コストであるため、e-learningを利用する動きがあり、大学の進学率を上げる結果となっています。2009年にはサイバー大学で大学院教育をスタートしており、現在9大学で行われています。年に2回、法律に基づいた評価や外部評価も行っています。しかし、教育の質は、韓国でも社会的課題であり、コンテンツを安易に作成して更新しないなどの批判がある中で、コンテンツは各科目で教員が異なるので、評価は難しいのが現状です。2013年には、コンテンツ作成のガイドラインが作成され予定、コンテンツ設計のフィードバックに重点が置かれる予定です。

講義室は、基本的には一般大学とは考え方は全く違います。しかし、最小限の対面教育、特に学生に対するコミュニケーションは必要です。なぜならば、学生の中退率がオフラインでのコミュニケーション不足によって生じたと考えられたからです。この対策として、オンラインとオフラインを混ぜるblended learningを展開し始めています。サイバー大学の設置基準の中には、オフラインで学生を支援する施設も含めゼミ室、コンテンツ開発室、研究室、サーバ室なども設置要件となっています。

短期大学は卒業すると直ちに働け、四年制大学は学業を目的とし、サイバー大学は就職を目的とし、大学院は研究が目的というように様々です。しかし、サイバー大学の大学院は、この研究をe-learning環境で行うのが特徴となります。そこでサイバー大学院は20%の講義をオフラインで行うことが求められています。 大学院でのDiscussionも重要ですが、これは必ずしもリアルタイムでのdiscussionを義務化するものではありません。システム(オンラインでのチャット等)を構築し、大学がそれぞれ工夫をしているようです。

韓国のメディアに以下のようなニュースが掲載されました。 こちら


このプログラムは、文部科学省「平成24年度博士課程教育リーディングプログラム」に採択されて実施しています。