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Dr.Kaydenのセミナーで見えたもの




参加者:DNGL5大学学生11名
場所:高知県立大学
講師:Stephanie Kayden

外部評価にあわせ来日されたDr. Stephanie KaydenとDNGLの一期生11人がセッション形式のセミナーを行いました。先生は救急医としてアメリカで活動されているほか、途上国を含めた様々な国での活動経験が豊富な上、人材育成などにも携わっています。先生の活動経験から、日本の災害時システムや、災害看護として、グローバルリーダーとしてどのような役割や能力が必要であるのかを皆でディスカッションできる場にする目的で行いました。

私たちの希望で、先生から大きく二つの話がありました。一つ目は先生がファーストインシデントコマンダーとして直接携わったボストンマラソン爆弾テロ事件のお話から、災害時システムや日ごろの訓練の重要性についてお話しくださいました。現場では高い準備性や、インシデントコマンドシステムにより能率的に活動できたこと、また先生が勤めていた病院でも、テロ直後から患者受け入れの準備に一斉に取り掛かり、スタッフはもちろん患者や家族も災害モードに切り替わることで迅速な対応ができたことを知りました。日ごろから最低でも6ヶ月に一度は災害時対応訓練をしており、日本と大きく異なっているのはその訓練が一切、日時や災害の種類は知らされず、休日や夜勤帯などでも行われているということでした。私たち学生は日本との大きな違いを感じ、大変衝撃を受けました。突然やってくる災害に対し、どのように考え行動するのかということを、身を持って体感することはとても効果的であると考えられ、実際の場面でもそれが生かされていたことを考慮すると、日本の訓練をより効果的にするためにはどうしたらよいのかと皆が考え込んだ瞬間でもありました。

二つ目の話はリーダーシップについてでした。身近にいるリーダーとは誰か?という問いに、すぐに南学長の名が上がりました。彼女は何を持っているか?というところから、尊敬とは自分から努力して得られるものであるとし、リーダーに必要な能力には①一貫していること②フェアであること③人の話をよく聞いて、自分の意見も言うこと④正しいことをすること、と話されました。他人にどう思われるかではく、自分が一貫していることが重要であると言い、自信を持つことも大切であると述べられました。

先生は日本のシステムなどにも精通しているほか、日本の文化的背景についてもよく考慮した上でお話くださいました。学生は、日本とアメリカの違いをより具体的に知り、取り入れていきたい部分、その際に日本で困難になるであろう部分などについても直接質問ができ、有意義な時間となりました。セッション後も学生同士で日本での訓練の話をしながら、アメリカの訓練の充実性や効果、日本で取り入れる方法や術について話しを続けました。また、改めてグローバルリーダーとはどのような能力が必要であるのかということを考える機会となり、それぞれの学生が自分にとっての強みや今後への課題などを考えるよい時間となりました。別の観点では、このような学生全員が集まる対面式での英語によるセッションは初めてでした。一人ひとりの学生の語学力には差がありますが、それぞれの学生が自分のレベルを再認識し、グローバルリーダーにとって必要であろう語学力に対するモチベーションの向上にもつながる機会となりました。

また前日にはDr. William L. Holzemerを囲み5大学の学生と教員との食事会も行われたため、この学生セミナーにも皆とリラックスした雰囲気で臨めました。

DNGL 西川愛海 諸澤美穂

http://www.medical-friend.co.jp/biblioDetail.php?b_id=799













このプログラムは、文部科学省「平成24年度博士課程教育リーディングプログラム」に採択されて実施しています。