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フィリピンにて地域避難所情報訓練の実施





去年の夏に引き続き、フィリピンフィールド調査を行いました。
夏に台風で行く事ができなかったレイテ島タクロバンと、ヨランダ台風の際に、死者が出なかったというカモテス諸島サンフランシスコを訪問しました。

<タクロバン>
現在アテネオデマニラ大学のメンバーとともに、災害時の情報収集など目的としたアプリケーションを共同開発しており、それを使用して、市役所の市長室隣の災害対策本部にて実施しました。市長をはじめ、ヘルスセクターのみならず、レスキューや地域ボランティアの方々を対象に、疑似災対本部を設立して、一昨年に起きた台風30号(ヨランダ)をベースとした被害シナリオを用いて、シミュレーションを行い、避難所状況の可視化訓練を行いました。また、タクロバンの市長より、ヨランダ台風当時の話をお聞きし、情報収集の難しさや元々の情報基盤の脆弱性の問題を知る事ができました。今後は正確な情報収集方法の確立が重要である事が分かりました。

また、ヨランダ台風の際に家を失った方々の住む仮設住宅を訪問する事ができ、一年後の状況についてインタビューをすることができました。台風直後、市として、被害の甚大さや混乱からセキュリティーの問題があがっていましたが、コミュニティー単位で引っ越してくる事ができたことで、それほど大きな問題ではなかったと住民の方からお聞きし、コミュニティーの重要性を再認識しました。また、入居後も時々他国の医療チームの巡回があり、健康面についても大きな不安はなかったとのことです。今後いつまで仮設にいられるかなど見通しはないそうですが、子供たちが元気で明るい表情を見せてくれていたのが印象的でした。

<カモテス諸島 サンフランシスコ町>
レイテ島の南西、セブ島の東に位置するカモテス諸島・サンフランシスコでは、ヨランダ台風よりも前から積極的にバランガイ(日本で言う区ほどの小さな地方自治単位)のリーダーなどを中心として、街づくりを行っていました。ヨランダ台風の際にも各集落ごとに、得られた情報から避難するという行動をとることができていたそうです。それを始めた市長のお話も聞け、そもそも住みやすい安心な街づくりをしていくという事が重要であり、それが災害時にも生きてくるという事、重要なのはリスクを知る事・脆弱性を知る事というシンプルな点である事を強調されていました。この事例から日本が学ぶ事がたくさんあるのではないかと感じ、災害多発エリアのアジアで、それぞれの国同士が学びあうということが重要であると再認識する事ができました。

DNGL 諸澤美穂





このプログラムは、文部科学省「平成24年度博士課程教育リーディングプログラム」に採択されて実施しています。