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ネパール地震における避難移住地の生活環境把握を行いました





現地時間2015年4月25日11時56分にネパールの首都カトマンズ北西77km付近、ガンダキ県ゴルカ郡サウラパニの深さ15kmを震源として発生した地震で多数の犠牲者と建築物の倒壊の被害が発生した。8月15日~22日までDNGLの野島院生が、神原准教授と共に、これから復興にむけて展開する活動の為に、大きな被害を追ったカトマンズ、ダディン郡の避難移住しているキャンプサイトの現状把握を行った。



最初は、カトマンズ市内から車で4時間の山道を登って行くと、ダディンの中心部に到着した。そして、さらに中心部から車で30分程度走ると、目的地のキャンプ地に辿り着いた。キャンプ地までの道のりは先ほどまでの道と比べ、道幅はとても狭く舗装されていない道を登っていった。すると、ひとつの集落が見えてくる。集落には学校が1校と、道を挟み2つの避難キャンプが分かれていた。この避難キャンプで生活している村人は、もともとシンドパルチョクのリチェット村に住んでいたが、震災後にポカラへ移住し、その後、政府によりダディンの現在の地に戻されたとのこと。

人口は122人であり、24世帯が生活している。年齢層も4ヶ月~65歳までと幅広く、妊婦や子どもの姿も多く見られ、大家族がともに生活をしていた。このキャンプ地には政府からの支援も十分ではなく、飲料水は山からの湧き水を使用し、トイレも122人対し2個しかない状況であり、とても生活していく上で十分とはいえない環境であった。また、衛生状態も悪く、腹痛や下痢、感染性の皮膚疾患も蔓延していたが、医療サービスを受ける手段が整っていない状況である。そして、この避難キャンプには妊婦も数名生活しているが、妊婦検診などを受診することなく、自分たちで出産を行っていた。住居に関してもトタンでできた8畳程度の仮設テントに5~6人が生活しており、所々に隙間や穴が開いており、雨などが降ると家の中に浸水してくる可能性がある状況であった。



カトマンズ市内のキャンプ地へは、宿泊ホテルから車で、30分程度で到着した。人口700人、子ども150人、170世帯が共に生活している。 このキャンプ地には政府からの支援が入っており、ライフラインは整っていた。食糧に関してもキャンプ内で配給があり、温かい食事が提供されていた。また、飲料水に関しても海外からの支援が入っていた。そして、医療に関してもキャンプ内で看護師が開設しているクリニックがあり、24時間体制で住民の健康が守られていた。また、トイレに関しても8個の仮設トイレが整備されており、看護師たちが清掃を行い、感染対策を行っていた。

今回、2つの難民キャンプを視察し、政府の援助が入っているキャンプと入っていないキャンプでのライフラインの整備の遅れ、医療の遅れなどを痛感した。また、難民キャンプで出会った看護師の話から災害時の看護の役割について多くのことを学ぶことができた。







このプログラムは、文部科学省「平成24年度博士課程教育リーディングプログラム」に採択されて実施しています。