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【レポート】ネパール大地震の現状とこれからを考える





 2016年7月29日に、高知県立大学サテライトオフィスにて、「ネパール大震災の現状とこれからを考える」と題し、ネパール国内で心のケア支援をリードされている、ウシャ・キラン・スバ教授を向かえ、意見交換会が行われました。DNGLからは高知県立大学から2回生の野島真美、東京医科歯科大学から、2回生の宮前繁と菅原千賀子が参加しました。意見交換会の前半ではウシャ・キラン・スバ教授から、ネパールでの女性のうつ病に関する講義があり、後半では、本学の神原咲子准教授が昨年の夏からJ-RAPIDの事業として行われていた、「避難移住地における感染症流行予防のための生活環境モニタリング」についての発表がありました。前半の講義では、ネパールでは震災前から女性のうつ病が問題となっていることについて説明がありました。その背景には経済的格差、ジェンダー、DV、脆弱なQOLが関連しており、また特にネパールの文化として悲しくても表情や感情にはあまり表出せず、常に笑顔で対応し感情を押し殺していることが大きな課題であると説明を受けました。また、うつ病に対する対処療法としては、カウンセリングやヨガ、指圧、マヒカリなどのリラクゼーション療法を取り入れ、感情を表出しやすい環境作りと人間関係作りを行っていることが明らかになりました。 そして、後半の神原准教授の発表では、これまでの研究のプロセスや課題、今後への展開などの説明があり、現地の看護師の力を活用した研究の可能性と災害看護における生活環境モニタリングの重要性について示唆をいただくことができました。また、急性期から、被災地の特性を踏まえ今後起こりうる問題について、生活面からアプローチを行い早期介入を行うことで、感染症流行を予防していけるのは、地域に密着し生活を見ている看護ならではの活動であり、災害看護においても重要な課題だと再認識することができました。

また、本報告会は東京医科歯科大学、高知県立大学をテレビ会議システムで繋ぎ、配信することにより、会場外から多くの質問を受け、活発な意見交換を行うことができました。 今後も、海外の状況や震災後の被災地の状況について関心を向け、災害について看護だけでなく、多職種の方々とも意見交換できる機会を設けていきたいと思います。






このプログラムは、文部科学省「平成24年度博士課程教育リーディングプログラム」に採択されて実施しています。