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活動報告

第25回日本精神保健看護学会学術集会の紹介

  学会員から情報を発信していこう!第5弾です。
  今回は、第25回日本精神保健看護学会学術集会について紹介させていただきます。
  第25回日本精神保健看護学会学術集会は、「新たな精神保健看護の開発を求めて」をテーマに、2015年6月27日、28日の2日間つくば国際会場で開催されました。
  大会長講演では、「新たな精神保健看護の開発を求めて-その人らしく生きることを支援するために-」というテーマで森千鶴会長のご講演がありました。現在の精神看護は、入院から退院に向けての生活援助や指導に加えて、その人らしく社会で生きることの支援をめざした看護の開発が必要とされています。そのためには相手を理解しその人のストレングスに着目しリカバリーを推進していくことが必要です。それと同時に、ヘルスリテラシーの概念が重要であると語られており、今後は、精神障害者自身が自分の健康を保持増進していていけるような新たな支援の開発が必要であると考えました。
  教育講演では精神科医の功刀浩先生から、「精神疾患を脳科学でとらえる-精神疾患の本質-」のテーマで、統合失調症の脳科学の研究成果を踏まえ、生活習慣が脳機能の改善に影響を及ぼすことなどについてご講演があり、脳機能の特徴を理解して関わることの大切を改め感じました。
  また、シンポジウムは“質の高い看護実践を目指した新たな取り組み”として「多職種・当事者参加チームで地域精神保健の変革に取り組む」「精神科病院での質の高い看護実践を目指した新たな取り組み」「医療観察法病棟における服薬アドヒアランス向上に向けた取り組み」「統合失調症早期の方へ手帳を活用した心理教育の実践~DSMの推進を目指して~」の4つテーマが語られました。患者が主体的に治療や看護に参加し、自分らしい生活を送れるように看護師と患者の協働していくことが高い看護実践に繋がっていくのではないかと考えられました。
 一般演題は口頭発表134題と、ポスター発表67題があり、研究内容も患者へのケア介入を始め、看護職員や中学・高校生のメンタルヘルス、高校生への自殺予防教育など多岐にわたるものでした。「リエゾン精神看護」の群では、看護学研究科15期生が修士論文の成果について口頭発表を行い、フロアーからも質問や意見などもあり有意義な発表であったと思います。精神看護は、対象となるすべての人々のQOLの向上を目指し、エンパワーメント、リカバリーへとつなげていくことであると考えます。看護研究は、その看護スキルを向上させる知識となり根拠となっていくことを再認識することができました。
  20題のワークショップは、いずれも実践的な内容で定員を満たす盛り上がりでした。高知県立大学大学院の修了生7名も「ヘルピングスキル-より良い相談のために-」と題し、看護師からの相談に対する面接を行う上で必要となるスキルとトレーニング方法をロールプレイで示し、参加者からは“職場での面接のときに役に立つ”“実際のスキルを学べた”という意見を多数いただきました。
  次年度の日本精神保健学会は滋賀県で開催されます。ご関心のある方は是非ご参加ください。