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活動報告

「クリティカルケア領域におけるPICS予防の取り組み」


 高知赤十字病院の救命救急センターには、ICUが10床、救命病床が16床あり緊急入院の患者や術後の患者の集中治療を行なっています。センター内には、急性・重症患者看護専門看護師が1名、集中ケア認定看護師が1名、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師が1名、クリティカルケア看護学領域博士前期課程修了者が1名在中しています。今回は、中でも急性・重症患者看護専門看護師(以下CCNS)の活動をご紹介いたします。
 この領域では、近年、ICUに入室した重症患者のうち約50〜70%が、ICU在室中、あるいはICU退室後、さらには退院後に生じる身体障害、認知機能、精神の障害(PICS:Post Intensive Care Syndrome)のいずれか、あるいは複数の障害に苦しんでいることが明らかになっており、その予防に関する治療やケアが注目されています。当院のCCNSは、中でも精神の障害に着目した活動を行なっています。対象は、緊急で経口挿管下に入室し、ICUに3日以上滞在した患者です。ICU退室後、定期的に面談を行ない、簡易抑うつ尺度(HADS)を用いて患者の精神状態を評価するとともに、患者にICUでの体験を自由に語ってもらうのですが、中には幻想や妄想の体験で混乱している患者や、記憶が欠落している患者もおられます。そのような患者に対し、任意で、ICU入室から退室までどのような経緯を辿ってこられたのか、治療の内容などを伝えることで、記憶をつなぐケアを行なっています。また、活動を通してみえてきた患者の体験を、センターのスタッフにもフィードバックしています。患者の理解を深めることや、どのようなケアが患者にとって心地よいものであったのかを振り返ることに活かし、PICS予防のケアの質向上に取り組んでいます。 

書紀委員 土方ちなみ(高知赤十字病院)


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