災害看護支援ネットワーク研究in高知
■ 研究活動の報告
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平成13年度 研究活動の報告


◆◆ 平成12年度の研究成果発表

A県における災害看護への取り組みに関する検討

高知県災害看護支援ネットワーク検討会

 
 
 
 
 
 
森下安子,東郷淳子,加納川栄子,大川宣容,山田覚,梶本市子,井上郁,松本女里,岸田佐智, 尾ア暢希,福田亜紀,岡本幸江,山本智恵,山ア美惠子(高知女子大学)

明神末喜,橋田富美,伊藤眞木,秦菅,池田百合江,藤井美智子,西野恵美子,尾崎久(災害支援病院)

秋田美智子(高知県看護協会)

1.はじめに
 平成11年度より、災害時の看護経験のノウハウを相互に持ち寄り、地域における災害看護支援ネットワーク形成のための方向性を探る目的で、高知女子大学の教員より成る災害看護支援ネットワークプロジェクトチームと、高知県内の保健所、災害支援病院、高知県看護協会の看護職の代表から成る「災害看護支援ネットワーク検討会」を結成し研究活動に取り組んでいる。平成11年度には、A県内の保健医療施設の看護職者を対象に、災害看護に対する準備状況について調査した結果、その準備状況に影響していると考えられる要因と、今後の取り組みに対する課題を明らかにしたのでここに報告する。

2.研究の方法
 平成11年10月〜11月にかけて、A県災害救急医療活動マニュアルにおいて、災害支援病院、災害支援補完病院に指定されている41施設(12支援病院、29補完病院)の看護職者と、A県内の6つの保健所と52市町村の看護職を対象に質問紙調査を行った。支援・補完病院の看護職には5名に1名の割合で、保健所・市町村の看護職には各施設に1名の割合で調査用紙を配布し、回答後は各自に郵送を依頼し、回答者を同定できないように配慮し、プライバシーの保護に努めた。
図 アンケートの構成 →
 調査項目は、看護者自身の災害時の看護活動に関する日頃の取り組みについて、図に示す構成に従って合計26の質問項目に、「常に取り組んでいる」「時々取り組んでいる」「取り組んでいない」の3段階で回答するように作成した。分析は、「取り組んでいない」群と、「常に取り組んでいる」、「時々取り組んでいる」群に分け、「職位」、「災害看護の経験の有無」、「災害救護訓練への参加経験の有無」毎に回答を集計し、χ2 検定で分析した。

3.結果
 全施設で688部配布し、498名の看護職者から回答があった(回収率72.4%)。全体として、災害看護に対する取り組み状況は高いとは言えず、特に、「ボランティアの活用方法の確認」「他の医療機関との連携方法の確認」、「災害弱者の把握方法の検討」、「生活物資の確認」、そして「生活環境把握のための情報収集項目整理」で低かった。また取り組みが比較的高かった項目は、「避難経路の確認」、「指揮命令系統の確認と自己の役割の確認」、「非常持ち出し物品の確認」、「災害マニュアル活用の確認」であった。
災害看護の経験の有無による違いをみると、経験がある人がほぼ全ての項目で取り組みの度合いが高い傾向にあった。【精神的ケア】および《他組織との連携方法》の全ての項目で、災害経験のある人の方が有意に取り組んでいた。防災訓練への参加経験の有無による違いをみると、《自組織の体制作り》、【救急処置】そして【移送/搬送】の全ての項目で、防災訓練参加経験のある人の方が有意に取り組んでいた。職位による取り組み状況の違いは、職位の高い人の方が、ほぼ全ての項目で取り組みの度合いが高い傾向にあった。

4.今後の課題
 災害看護への取り組みが管理者層に留まっている傾向があり、今後はスタッフ層へと実践を広めていくための動機づけと教育訓練が必要である。また実際体験に基づいた必要性の認識やノウハウを伝え、これらを掘り起こし体系化していくことが重要である。訓練参加への経験は、日常の業務の中での取り組みに影響しており、平常時の訓練参加が重要である。また各職場では、災害や非常事態に備えた組織作りに取り組んではいるが、自組織内での活動に留まり、地域の他組織や各種団体との連携にまで至っていないことより、今後は、A県の防災マニュアルをもとに災害に備えた地域内の看護職の組織間ネットワークの形成が必要であると考える。(本研究は平成12・13年度文部科学省科学研究費の助成を受けた研究の一部である。)


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