ニュートンの運動方程式は、\[m \frac{ d^2\vec{r}(t) } {dt^2} = \vec{F}(t) \]でした。これを速度 \( \vec{V} \) で動いている場所から見ると、\[ \vec{r'}(t)=\vec{r}(t)-\vec{V} t \]となります。丁度、同じ物体の運動を、地上からと、速度 \( \vec{V} \) で動いている電車から見た場合の、座標の関係です。これを「ガリレイ変換」と呼びます。なお、地上で「慣性の法則」が成り立つ場合には、この電車の中でも「慣性の法則」が成り立ちます。ガリレイ変換は「慣性の法則が成り立つ座標系=慣性系」間の変換法則になります。この座標変換式を運動方程式に代入すると、\[m
\frac{ d^2\vec{r'}(t) } {dt^2} = \vec{F} (t) \]となり、「変換前と同じ式」になります。つまり、地上からボールを投げると当然「運動方程式」に従って運動しますが、それを、電車から見ても「同じ形の運動方程式」に従うということです。つまり、「運動法則は、地上で見ても、電車から見ても同じ」という性質を持っています。つまり「運動法則は慣性系によらない(慣性の法則が成り立てば、どの座標系でもなりたつ)」となります。どちらも同じ法則が成り立つので、たとえば「地球が止まっているのか、それとも宇宙の中心に対して動いているのか」は、分かりません。そんなこと気にしなくても、「慣性の法則が成り立っている座標系なら」運動の3法則が成り立つ、というのが、便利なところでした。
ところで、電磁法則はどうなのでしょう? Maxwell方程式\[ {\rm div }\vec{D}( \vec{r},t )= \rho ( \vec{r},t ) \] \[ {\rm div }\vec{B}( \vec{r},t )= 0 \]\[ {\rm rot}\vec{E}( \vec{r},t )= - \frac{\partial \vec{B} (\vec{r},t) } {\partial t} \]\[ {\rm rot}\vec{H}( \vec{r},t )= \vec{J} (\vec{r},t) + \frac{\partial \vec{D} (\vec{r},t) } {\partial t} \]にガリレイ変換の式を代入すると....
\[ {\rm div }\vec{D}( \vec{r'},t )= \rho ( \vec{r'},t ) \] \[ {\rm div }\vec{B}( \vec{r'},t )= 0 \]\[ {\rm rot}\vec{E}( \vec{r'},t )= - \frac{\partial \vec{B} (\vec{r'},t) } {\partial t} +{\rm rot}( \vec{V} \times \vec{B}( \vec{r'},t )) \]\[ {\rm rot}\vec{H}( \vec{r'},t )= \vec{J} (\vec{r'},t) + \frac{\partial \vec{D} (\vec{r'},t) } {\partial t} + \rho( \vec{r'},t )\vec{V} - {\rm rot}( \vec{V} \times \vec{D}( \vec{r'},t ))\]となります。これは電磁波が存在することを実証したヘルツという人が最初に計算したのでHeltz方程式と呼ばれています。これは.... Maxwell 方程式と「違う」ことが分かります。つまり、運動の法則は変わらないのに、「電磁法則は、地上で見たときと、電車から見たときで違う」という計算結果になります。つまり「Maxwell方程式が成り立つ慣性系と、成り立たない慣性系」があることになります。本当にそうなのでしょうか?
そのずれを測定すれば.... 地球が宇宙の中心に対してどう動いているいるのか分かるかもしれない!... と多くの人が測定を試みました。ちなみにヘルツ方程式だと光(電磁波は)はボールと同じように早く見えたり遅く見えたりするので、地球の公転運動を利用して、光の速度が変わって見えるのかどうかを(半年以上かけて、地球が逆向きに動くのを利用して)マイケルソンとモーリーでが精密測定をしてみました。測定結果は.... 「なんと光速度は、どんな座標系で見ても変わらない( \( C= 3 \times 10^8 \rm [m/s]\) )」というものでした。
他にも様々な実験が行われましたが、何故か「Maxwell方程式からのずれ」は、(あれば観測できるはずなのに)全く観測できませんでした。電磁力で運動する粒子の運動を見たら、その法則は「慣性系によって違う」のでしょうか? それとも「同じ」なのでしょうか?
Maxwell方程式を解くと「電磁波」が得られますが、その速さは、\( C=\frac{1}{\sqrt{\varepsilon_0 \mu_0}} = 3 \times 10^8 \rm [m/s]\) になり「光の速度」と一致します。これはMaxwell方程式を解くだけで得られる値なので、「もし、(静止した)地上から見ても、(動いている)電車の中から見ても、電磁法則が、同じMaxwel方程式に従うなら、電磁波の速度(光の速度)も、同じになる」ということになります。
20世紀初頭(1905年)アインシュタインは、光の「速度」は地上から見ても電車で追いかけてみても「同じ値」に見える、と言うのは、速度は[距離]/[時間]だから、これは電磁現象とか力学現象とか、光だから、の問題ではなく、[距離]と[時間]の関係の問題だろう、つまり「ガリレイ変換式が正しくない、と言うことを意味しているのでは?」と考えます。
そして「光速度が変わらなくなる、慣性系間の座標変換式」の可能性を考えます。ここでは簡単のため直線運動(1次元運動)で説明します。地上からみた物体の位置座標\(x\)と、速度\(V\)で運動している電車からみた(同じ物体の)位置座標\(x'\)は、\[x'= x-Vt\]である、と言うのがガリレイ変換式です。両辺を時刻tで微分すれば、物体の速度になります。これは、\[\frac{dx'}{dt}= \frac{dx}{dt}-V\]なので、地上から見る速度 \(\frac{dx}{dt} \)と電車から見る速度\(\frac{dx'}{dt} \)は、「必ず」変わります。
これが光の場合に「変わらず」に見えるということは、「距離」か「時間」が地上から見るのと、走っている電車から見るのと、「変化」することを意味していることに、アインシュタインが気がつきました。つまり「時間」とか「長さ」と言う量は「どの座標系で測ったかによる(相対的量)」であり、今まで「地上でも電車の中でも、時の進みかたは同じ、と思っていたことは、時間が座標系によらない量(絶対的量)と暗に仮定して、それが当たり前と思い込んでいただけで、その根拠は全く無い」と言うことに気がついたのです。この考えはあまりに突飛すぎて、それまで誰も思ってもいなかったことです。ですからアインシュタインは「同時刻とは何か?」とかそう言うレベルの「こどもに向けの説明?」って思うようなところから、丁寧に説明を始めています。なお、原論文は公開されています。怖いもの見たい方は、例えば、
http://myweb.rz.uni-augsburg.de/~eckern/adp/history/einstein-papers/1905_17_891-921.pdfなどを見てください(ドイツ語ですが(^^;)。論文の最初の方だけでも眺めてみると面白いかもしれません。
そこで、アインシュタインは、ある物体の「地上から見た位置と時間(\(x,t\)」と速度\(V\)で移動している電車から見た同じ物体の「地上から見た位置と時間(\(x',t'\)」の関係を、考えます。「慣性系であれ」という条件から1次式という制限が付きます。また、 電車を基準にすると「地上は、速度\(-V\)で動いている」ので、同じ関係式を逆に使っても、辻褄が合うようにする必要があります。また、同じことですが、地上から見た位置と時刻を、速度\(V\)で動いている電車から見た位置と時刻に変換し、さらに電車から見た位置と時刻を、電車から見て速度\(-V\)で動いている地上から見た位置と時刻に変換すると、元に戻ることが必要です。その上で「光速度\(C\)が、どちらの座標系を選んでも変わらない」と言う、座標変換式を求める問題になります。この条件を科すと、それだけで変換式は1通りに求まりました。\[
x'=\frac{1}{\sqrt{ 1- \frac{V^2}{C^2}} }( x - V t) \]\[ t'=\frac{1}{\sqrt{ 1- \frac{V^2}{C^2}} }( t - \frac{Vx}{C^2}) \]と言う式です。これは、歴史的にはローレンツと言う人がMaxwell方程式の性質を調べていて発見していた式で「ローレンツ変換式」と呼ばれますが、ローレンツは「Maxwell方程式をいじったら出てきた式で、電磁法則と関係あると思うが、意味がわからん式」として発表していました。アインシュタインは「時間と空間(位置)」の関係を表す式として、この式を得たのです。
なお、「もし光速度が十分に速い(計算上は無限大として扱う)」ならば、この式はガリレイ変換式に移行します。ですから今まで、「時間や、距離(長さ)が、地上で測っても、速度\(V\)で移動している電車から測っても同じになる、と思っていたのは、単に光速度くらい速く動く現象を(人類が)見ていなかったからだ」と言う形で、今までの認識は「近似的に」成り立っていたにすぎない、と言う認識になります。
また、この式を認めると、例えば地球から高速な宇宙船で飛び立つと、宇宙船の中の時間の進みかたと、地上での時間の進みかたが違う、そして、宇宙船の中の人に取っては短い時間の出来事のように感じても、地球上ではものすごく長い時間が経過している、と言うこともありうることになります。まるで浦島太郎が竜宮城に行った時のお話みたいなことになりますので、(浦島太郎の話を知っている日本では)「浦島効果」と呼ぶ場合があります。
ローレンツ変換式、結構複雑な式ですね(^^; そこで、時刻\(t\)の代わりに、時刻に光速度を掛けた値\(Ct\)を用いてみます。これを\( \tau \)と書くことにしましょう。掛けている値は「定数」ですから、時刻と同じ意味です。しかし速度を掛けているので長さと同じ単位になります。これを使ってローレンツ変換式を書き直すと、\[ x'=\frac{1}{\sqrt{ 1- \frac{V^2}{C^2}} }( x - \frac{V}{C} \tau) \]\[ \tau'=\frac{1}{\sqrt{ 1- \frac{V^2}{C^2}} }( \tau - \frac{V}{C}x) \]となります。なんか全部\( \frac{V}{C} \)でまとまって、前よりは「きれいな式」に見えませんか?(^^;
まだごちゃごちゃしているので、「定数」になる量、\( \frac{V}{C} \rightarrow \beta \),\( \frac{1}{\sqrt{1-\beta^2}} \rightarrow \gamma \),と書くと、\[ x'=\gamma( x - \beta \tau) \]\[ \tau'=\gamma( \tau - \beta x) \]となります。ちょっと順番変えて書くと、\[ x'=\gamma( x - \beta \tau) \]\[ \tau'=\gamma(- \beta x + \tau ) \]同じことを「ベクトルと行列」で書くと、\[ \binom {x'} {\tau'}= \gamma \binom {1, -\beta} {-\beta, 1} \binom {x} {\tau} \]となります。皆さんの年代は「ベクトル」は高校で教わっていても「行列」は高校で教わっていませんね(^^; まあ、元の式もありますから、何となく「雰囲気」だけは伝わるかな? と思っています。上の式の「係数」だけを、縦横に並べて書いたのが「行列」で、この係数が「図形の変形」と関係しています。
つまり、ある物体の「位置 \(x\)」と「時刻\(\tau\)」を、速度\(V\)で運動している(電車を基準とした)座標で見たときの関係式は、「運動のグラフを、斜めに引っ張ったり縮めたりする、斜交座標への座標変換」として表せるし、そうイメージすることができます。
今、簡単のために直線運動(1次元運動)で説明してきましが、実際には物体の位置は3次元\( (x,y,z) \) です。運動のグラフは、時刻と位置の関係を表すものですから、「4次元のグラフ」になります。4次元のグラフってイメージしにくいかもしれませんが、物体の位置を2次元で表せば3次元のグラフ(空間の図形)、物体の位置を1次元(つまり1つの値\(x\))で表すなら、普通の平面のグラフになる、ってだけの意味で、実は中学校から使っていた「運動のグラフ」の意味で、それを空間に対しても書くぞ、と言うだけです。
しかし、このような「4次元の幾何学(図形の数学)」を使うと「ローレンツ変換」は、単なる図形の変換として捉えることができ、「見通しが」よくなります。そこで時間と空間(位置)を合わせて、運動のグラフの形を「4次元の図形」として捉えよう、と言うのが「4次元時空」と言う考え方です。
異なる慣性系への座標変換が、ガリレイ変換ではなくローレンツ変換だと、「ニュートンの運動方程式」は、ローレンツ変換をすると別の形になってしまいます。そこで、アインシュタインは「ローレンツ変換しても運動方程式の形は変わらないはず」と考え、ニュートンの運動方程式を、そのように改良しました(光速度に比べ十分遅い時はニュートンの運動方程式になる、と言う条件で)。
最終的な書き方はいろいろあるのですが、皆さんに分かりやすい書き方をすると、\[ \frac{dp}{dt}=F, p=m\upsilon, m=\frac{1}{\sqrt{1-\frac{\upsilon ^2}{C^2} }} m_0=\gamma m_0 \]となります。ここで、\(F\)は力、\(p\)は運動量、 \(m\)は「慣性質量」、\(m_0\)は「静止質量」と呼びます。静止質量は「静止していると言う条件で測定した質量(物体に固有の定数)」です。慣性質量は「加速のしにくさ」として定義される質量(今まで使っていた質量)で、これが「速度によって変化する」と言う結果になります。
特に、物体の速度が光速度に近づくと、分母は0に近づきますから、慣性質量は発散(無限大)になります。つまり「光速度に近づくと、どんなに力を加えても、加速しなくなり、光速度は超えられない」と言う結果になります。また、この式に基づき、保存量としての「エネルギー」を計算すると、\[E=mC^2=\frac{1}{\sqrt{1-\frac{\upsilon ^2}{C^2} }} m_0 C^2= m_0 C^2+ \frac{1}{2}m_0\upsilon ^2 + ... \]となり、今まで「運動エネルギー」と呼んでいたものは、「慣性質量の増加」の一部として表現でき、そのような表現をすると、「エネルギーと(慣性)質量は、本質的に同じもの」と言う理解が得られます。当時、実験で「原子核反応で、質量が変化する」と言うことが知られていましたが、「原子核反応で発生するエネルギー」と「質量の変化」が、この関係式と完全に一致することから、「どの核反応を起こせば、どのくらいのエネルギーが発生するか」を正確に理論的に予測する式としても使われるようになります。
そして、 余談ですが.... 第2次世界大戦。ユダヤ人と言うことでドイツに住むことに危機を感じたアインシュタインは、米国に亡命し、当時まだ存在していなかった「原子爆弾(原子核反応を利用した爆弾)」の発生するエネルギー量などの計算から「これが、ナチス(ドイツ)により開発されたら、世界は大変なことになる」と言う理由で、米国大統領に手紙を書き「ナチスから世界を守るために原子爆弾の開発」を提案します。第2次世界大戦終盤、ヒトラーの自殺によりその危機が去り「これで原子爆弾は必要なくなった(^^)」とアインシュタインたちは喜びましたが、米軍は「軍としては、作った爆弾を使わないと言う選択肢はない!」と言うことで、科学者たちの意見や要望を無視して、「広島・長崎で使った」ことは、皆さんもご存知と思います。「政治や軍は、平和を願う科学者の願いを踏みにじり、人類を破壊へと導く」と言うことを身に染みて感じたアインシュタインは、その後核兵器廃絶を訴え続けますが...(T_T)
なお「慣性質量とエネルギーが本質的に同じもの( \( E=mc^2\) )」と言う認識は、兵器などと関係なく、その後の近代?現代文明を築く上で、幅広く利用されている、大切な知見になっています。
「ローレンツ変換に対して不変」な運動方程式を得たことにより、「運動法則も電磁法則も、ローレンツ変換に対して不変(地上かた見ても、運動している電車から見ても、運動法則も電磁法則も変わらない)」と言う認識に至り、運動法則と電磁法則の間にあった矛盾は完全に解消しました。そしてそのためには、位置と時刻はローレンツ変換により変換される、つまり「時間や長さは、観測する座標系によって異なる(座標系の選び方に対して相対的な量)」と言う前提が必要であり、そのような認識をまとめて(特殊)「相対性理論(略して相対論)」と呼んでいます。なお何が特殊なのかは、後で「一般」が出てきたときに、説明します。
物体の運動を「4次元のグラフ」で見るなら、互いに等速直線運動している座標系である「慣性系」の間の変換だけでなく「加速している」座標系への変換を考えたら、どうなるか? と言う問題に、アインシュタインは取り組み始めました。
例えば、同じ物体の運動を、地上から見るのと(等速ではなく)加速している電車の中から見たときの関係です。加速している座標(加速している電車を基準に)物体の運動を見ると、静止しているものが加速しているように「見え」ます。加速の原因を力と呼ぶのであるなら、「見方を変えたために、(本当は力が働いていないのに)力が働いているように見える」現象がおきます。これを「見かけの力」と呼びます。なお「本当の力」はニュートンの第3法則が成り立つ、つまり「力の原因となる相手があり、作用反作用の関係が成り立つ相互作用」です。「見かけの力」は相手が無いので(見方を変えただけなので)本当の力ではありません(だから「見かけの力」と呼びます)。
アインシュタインは、「慣性系間の変換式(ローレンツ変換)」だけでなく、「加速座標系への変換式」も「光速度不変の法則」と矛盾が起きないように作ることを試みます。これは極めて難しい問題で、数学の天才でもあるアインシュタインでさえ8年間も掛けてようやく成功します。これが「一般相対性理論」と呼ばれます。加速座標系とは「加速運動(運動のグラフは曲線)」が止まって見えることがある、と言う座標変換ですから、曲線を座標軸にする座標変換になります。しかし、それだけでは、光速度不変の法則と矛盾しない、運動のグラフの座標変換式を作ることは(数学的に)不可能です。アインシュタインは、2次元で言えば「平面のグラフ用紙では不可能だが、曲面のグラフ用紙を使えば可能」と言う答えにようやくたどり着きました。なお「曲面のグラフ用紙」とは、例えば(球面である)地球上の位置を経度・緯度と言う2つの数で表す、と言うようなものです。このような「(2次元で言えば)曲面上のグラフ用紙」で書いた運動のグラフの4次元版を「曲がった時空」と呼びます。
そして.... 「加速座標系への変換による見かけの力」と「重力(万有引力)」の類似性を考えると、両者とも「注目している物体の質量に比例する」と言う性質があるので「落下の法則などは、加速座標系への変換」として記述できるのでは無いか、と考えます。つまり「重力は見かけの力と同じである」と言う考え方です。つまり、質量のある物体があると、それが周りの時空を歪ませて「加速座標系」ができる。その加速座標系の中で「静止」している物体があれば、それは元々の座標系から見れば「加速」しているように見える。それが「落下(=重力=万有引力)」である、と言う考え方です。式で表すと、\[ R_{\mu,\nu} -\frac{1}{2} g_{\mu,\nu}R = \kappa T_{\mu,\nu} \]となります。簡単そうに書いていますが、ここで使われている記号は、曲がった座標を使う4次元図形の数学(リーマン幾何学)の記号で書かれていて、記号の意味を知るだけでも、多分、国立大物理学科の優秀な4年生以上でないと無理でしょう(^^;
なお、式の「意味」は、簡単に言うと、右辺が「質量(エネルギー)や運動量」で左辺が「運動を描くグラフ用紙の曲がりかた」を表す量です。つまり、質量やエネルギーがあると、その周りで「運動を描くグラフ用紙が曲がり(=時空が歪み)」そこに他の質量を持った物体があると「曲がったグラフ用紙(歪んだ時空)の上で、真っ直ぐに動く(慣性の法則)」。それを「曲がったグラフ用紙で座標を読むと」、重力(万有引力)による物体の運動になる、と言う意味です。つまり、「グラフ用紙の曲がりかた=時空の歪み」による見かけの力のようなものが、万有引力である、と言う見方になります。
なお、この方程式を解くと(電磁法則のときの電磁波と同じように)、「歪みは、伝わる」と言うことが出てきます。これを「重力波」と呼びます。重力波はとても観測しにくく、アインシュタインの予言から100年程度必要でしたが、とうとう「2016年に重力波が観測」され「重力も、電磁力と同じように、「波として伝わるもの」」と言うことが実証されました(2017年ノーベル物理学賞)。
# なお、加速座標系への座標変換(一般座標変換)のうち、加速度0(速度一定)と言う特殊な座標変換が「慣性系間の座標変換」であるので、その範囲の理論を(一般相対性理論と区別するときに)「特殊」相対性理論と呼ぶようになりました。
今日の話は「無茶苦茶難しい」ですね(^^; ちんぷんかんぷんでも、構わない... と言うか、こんな難しい話を一度聞いた(見た)だけで解ったら、それこそ驚きです(そんな人いたら、多分人類史上最高級の大天才の素質ありです)。にも拘らず、皆さんに「本物(の式や論文)」を紹介し、本物の話を紹介したのは、中身を理解するためではなく、本物を見て、そこから「何かを感じて欲しい」からです。
また、「高速で移動する宇宙船の中と地球上では時間の進み方が違う」と言う結果は、その後SFやアニメの定番の設定にも使われていますし、「時空の歪み」と言う言葉も(正しい意味かどうかはさておいて(^^;)SFやアニメにも登場してきています。そう言う話は実は本物の自然法則である「相対性理論」が元ネタで、それは実は結構難しいこと(だからSFやアニメの設定には間違いもある... けど楽しければ良い(^^;)で、しかもそれは「現代技術の根幹」になっていることを、なんとなくで良いので知って欲しいからです。
なお、「重力の強さ」によっても時間の進みかたが変わりますので、例えば地上とスカイタワーのてっぺんでは、時間の進みかたが(極わずかですが)違います。そして現代技術は、この時間の進みかたの違いを「直接測定できる」のです(^^) そのような現代の精密な測定技術は、地球規模の物差しでmm以下の測定も可能にしており、それが現在のGPSの技術でもあります。つまり人工衛星にとても正確な時計を積んでその信号を地球に向けて送り... その信号の到着した時刻と人工衛星の時刻のズレを使って、地球上にある物の位置を正確に測る技術です。なおあまりに正確だと軍事的な問題もありますので、今はわざと精度を落として、カーナビやスマホの位置検出にも使われています。そのような測定のための計算の中身は、相対性理論に基づいた極めて高精度な計算です。
現在「あたりまえ」と思いがちなことは、実は何も知らないからそう信じていただけで、「あたりまえ」のことなんか無いし、人類が長い時間を掛けて解き明かしてきた自然の法則を、うわべだけ聞いて「わかったつもりになっていた」ことに、気がついていただけたらいいな、と思います。
そんなことを念頭に置き、今までの話を踏まえて、「近代~現代的」な認識として、
では今日はこの辺にして、次回はもう一つの大きな自然認識の進展「量子」の概念について説明します。