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ダブル・ディグリー・プログラム1年目を終えて

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文化学部4回生
大嶋康晃

 ダブル・ディグリー・プログラムを利用して台湾・高雄市の文藻外語大学に留学して1年が経過しました。まだ帰国まで1年残してはいますが、これまで学んだこと、経験したことを振り返って、ここに報告します。

 まず、文藻外語大学での学習についてです。文藻外語大学の講義は教員が学生に積極的な発話を求め、教員がそれに応答する形で進んでいくという形をとっているものが大半です。高知県立大学では学生がリフレクションシートを記入することによって教員とコミュニケーションをとっていくことが多かったので、留学先で講義を受け始めて「こういうやり方もあるのか」と日本で受けていた講義との違いを即座に感じました。文藻外語大学は名前の通り外国語を専門に扱う大学なので、英語や日本語をはじめとする外国語で講義が行われていることもよくあります。その中でこのような形式で講義が行われることは外国語の発話の機会を増加させるという意味で非常に良いことであると感じました。また、試験も4人から5人でグループになってプレゼンテーションをするという課題が設定されることも頻繁にあります。高知県立大学では、テストやレポートを通じて個人で考えを深化させる方式を採用していますが、文藻外語大学ではこのような形式を採用することによってチームワークの機会や外国語での発話の機会が増加し、外国語学習に良い効果をもたらしていると感じます。文藻外語大学の講義の環境はとても実践的な環境と言えると思います。

 次に、中国語の学習についてです。私は第二外国語として中国語を選択して1回生時に基本的な中国語を1年間学習しましたが、それだけでは買い物もできなかったため、ほぼ初めから学習することになりました。ダブル・ディグリーによって入学した学生は正規留学生として扱われるため、私は正規留学生向けに開講されている中国語の講義を受講していました。学期が始まる前のクラス分けテストで私は下から2番目のレベルのクラスに配置されました。クラスメイトの国籍は様々で、インドネシア、ベトナム、ロシアからの留学生と共に15人くらいのクラスで学習していました。教員は中国語で教えるので最初は何を言っているのかわからないこともありましたが、回を重ねるごとに次第に言っていることが分かるようになり、指名された時に自分の言いたいことを中国語で言えたときは達成感もありました。

 講義の中で中国語を学習するだけでなく、自主学習も同時進行で行っていました。実際、講義で覚えた学習事項よりもこっちで覚えた学習事項のほうが明らかに多いので、留学中の自主学習は必須だと感じます。私の場合は大学の書店で売っていた文法書と日中対訳の単語帳を毎日見ることによって学習を進めていました。それに加えて、母語話者の発話のスピードやリズムに慣れるために中国語のポッドキャストを流しっぱなしにする時間も設けていました。この学習を始めて3か月ほどで周囲の人の言っていることが意味のある言葉として聞こえ始め、半年経つ頃にはゆっくりとした発話であればほぼ聞き取れるようになり、わずかながら会話を楽しむ余裕も生まれてくるようになりました。留学が始まって1年になることを考えてレベルチェックのために受けたTOCFL(華語文能力測検)では聴解と読解で高階級の級位を取得することが出来ました。しかし、まだまだ会話の中で理解できないことは多くあるので、これからもこのような学習を続けていきたいと考えています。

 最後に普段の生活についてお話ししたいと思います。私は台湾に渡ってからずっと学生寮に住んでいます。学生寮は1部屋に4人が住むようになっており、香港人、日本人、台湾人など様々な学生と一緒に生活してきました。普段は各々のやるべきことを自分の机の上でやっていたのですが、夕食は4人で一緒に出かけて食べていました。そこではそれぞれの近況や自分の出身地の話、文化の違いなど様々な話題について話して楽しく過ごしました。休日には大学で知り合った台湾人の学生と一緒に出かけることもありました。私はアニメが好きなので、日本語学科のアニメが好きな学生たちと同人誌の即売会に出かけました。即売会は日本のアニメの二次創作やオリジナルのイラスト集などがブースごとに大量に並べられていて、かなり活気ある場となっていました。私としても異国の人々のイラスト表現などが見られて、非常に良い体験になったと感じています。

 また、夏休みには仲の良い香港人ルームメイトと一緒に台北に旅行に行きました。台北は高雄とは違って老街や総統府をはじめとする日本時代の建築がそこかしこにあり、台湾の歴史を間近に感じることができる街であったと感じました。また、日本時代の建築を見ることによって、日本ではほぼ失われてしまった戦前の貴重な建築を間近で見ることが出来てうれしいと思った一方、植民地支配という暗く、重い歴史についても思考し、自分は台湾の歴史とどのように向き合っていくべきであろうかと考えるきっかけを得ることが出来たように思います。

 このように、私はこの一年間で様々なことを経験し、また、実践してきました。これからの1年間も様々なことに自分から挑戦し、実践していきたいと考えています。また、新型コロナウイルスの世界的流行にも関わらずどうにかこのプログラムを実行してくださった高西先生やヨース先生をはじめとする国際交流センターの先生方や、様々な手続きをしてくださった漆畑さん、その他の大学関係者の方々には大変感謝しております、この場で御礼申し上げます。挑戦と感謝の気持ちを忘れず、これからも努力を積み重ねて多くの成果を挙げたいと考えております。

        
【ダブル・ディグリー・プログラムについて】         

ダブル・ディグリー・プログラムとは、2つの大学の学位を取得する(2つの大学の卒業資格を得る)ことができるプログラムのことです。高知県立大学文化学部では、2019年に文藻外語大学(台湾・高雄)とダブル・ディグリー・プログラム協定を締結しました。これにより、このプログラムに参加する文化学部の学生は、高知県立大学で3年間、文藻外語大学で2年間学習し所定の単位を修得すると、高知県立大学と文藻外語大学の2つの大学の学位を取得することが可能となりました。


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旧英国領事館からの風景 
旧英国領事館からの眺め

同人誌即売会参加者の集合写真
同人誌即売会に一緒に参加した皆さんと(筆者は奥の左から2人目)


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