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活動報告

日本老年看護学会 第20回学術集会の紹介

第29回日本がん看護学会学術集会の紹介

第29回日本がん看護学会学術集会の紹介

 「学会員から情報発信をしていこう!」企画第4弾です。今回は、平成27年6月12日~14日にパシフィコ横浜で開催された日本老年看護学会第20回学術集会をご紹介いたします。
  日本老年看護学会は、日本老年学会にも加盟しており、今回の学術集会は、第29回日本老年学会として、日本老年医学会、日本老年精神医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年歯科医学会、日本ケアマネジメント学会と日本老年看護学会あわせて7学会合同で開催されました。「良質な超高齢社会を拓く;学際的研究の進展と深化をめざして」という合同学会のテーマに基づき、日本老年看護学会学術集会は「超高齢社会における看護の可能性」というテーマで開催されました。
  会場では、高齢者のフレイル(筋力や心身の活力が低下した状態)、食べることに関する意思決定支援、多職種連携、エンド・オブ・ライフケア、超高齢社会を拓く学際的研究、認知症の人を支える、地域包括ケアシステム、などのテーマでシンポジウムが行われました。これらのテーマを見ただけで、急速に超高齢社会になった我が国で取り組むべき看護の方向性を感じました。
  合同シンポジウムの一つ、「食べることにまつわる意思決定支援 ~代理者としての家族の価値観と選択から考える~」では、明確な事前指示のない高齢者の食べることを支援するうえで、ご家族の思いが先行するのではなく、“ご本人の思い”をご家族から引き出すこと、誤嚥による侵襲性やご本人の予備力など全体的に判断して経口摂取の継続について検討する必要があると話されていました。このような日々のケアやアセスメントを大切にすることが、高齢者の生活を支えていくのだと改めて思いました。超高齢社会である現在、高齢者のエンド・オブ・ライフへの教育活動は急務であり、老人看護専門看護師が中心となってELNEC-J高齢者カリキュラムの普及に力が注がれています。
  また、特別講演では、第一回学術集会長をつとめられた本学の大先輩でもある中島紀惠子先生が、「老いの風景」と題して、ご自身の“老い”から、依存する中での自律性の獲得が老いゆく者にとっての最大の仕事であると語られました。そして、やはり本学22期卒業生の井上郁先生は、高度実践老年看護の展望について、「生きてこられた年月が長いほど習慣や個性が際立っているとするならば、老人看護は最も個別性が必要な看護と言っても過言ではない。それならば、看護の究極目指すところは老人看護であるとも言え、老人看護がすべての看護の基本になる日がくるのではないか」と壮大なメッセージを語られました。日本の老年看護の礎を築いてこられた諸先輩方の語りから、高齢者が何らかの力を借りながらも個々が自律して生きていると感じられる高齢者看護を目指したいとあらためて思った学会でした。
 ぜひ、皆さんも老年看護学会に足を運んでみてください。高齢者の看護について一緒に考えていきましょう。