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Beautiful Harmony(美しい調和)」は、迷誤訳?! シンポジウム新元号「令和」の典拠を考える・報告(令和元年10月26日開催)

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 令和元年10月26日(土)高知県立大学永国寺キャンパス教育研究棟1階A101教室において、シンポジウム「新元号 令和 の典拠を考える─万葉集の散文学─」を開催しました。

 ゲストとして万葉集の第一人者奈良大学の上野誠教授と米国のイェール大学大学院より院生のローレン・ウォーラー氏をお迎えし、本学の教員とコラボレートした企画です。

 パネリスト フロア

 総合司会の田中裕也講師の流暢な司会に始まり、当日の聴衆の99%がお目当ての上野誠教授の少し型破りな楽しいお話から、ローレン・ウォーラー氏の国際的な視野の研究、本学の高西成介教授からは中国文学の興味深い報告がなされました(残念なことに、ヨース・ジョエル教授は体調不良で当日欠席)。東原は、このシンポジウムのコーディネーターの立場から、新元号発表以来の報道や「令和」じたいの内包する問題を取り上げました。

 今回のシンポジウムのトピックの一つは、新元号「令和」の、政府の海外向け公式見解「Beautiful Harmony(美しい調和)」は、実は誤訳ではないかという見解が示されたことにありました。「明治」から「平成」までは漢籍が典拠であったため、ほぼ「漢語」同士の組み合わせが、典拠の書物においても示されていたのです。しかし、「令和」は『万葉集』という和書を用いた初の試みであったため、「漢語」同士の組み合わせではなくて、「漢語」と「和語(やまとことば)」との組み合わせになってしまったのです。

 例えば「昭和」と「令和」とは、ことばの響きは似ていますが、典拠となるものが、「昭和」は『書経』という漢籍。「百姓明、協二-萬邦。百姓昭明(ひやくせいせうめい)にして、萬邦(ばんぱう)を協和(けふわ)す。」とあるように、 「漢語」+「漢語」の組み合わせなので、用いられている「和」には、「Harmony(調和)」という訳語が、適しています。しかし、「令和」はそれらとはまったく異なります。「初春月、気淑風。初春(しよしゆん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぐ。」 「漢語」+「和語」の組み合わせで、「かぜ」が、「やわらぐ」という和語です。少なくとも「やわらぐ」、「やわらぎ」の英訳には、「Harmony(調和)」の意味はありません。 ちなみに「令月」の「令」も、「よいつき」ですが、この「よい」は、縁起が良い、くらいの意味合いですから、これにも「Beautiful」のニュアンスは、全然ありません。したがって、「Beautiful Harmony」は、とんでもない迷誤訳なのです。

 シンポジウムの運営は、田中研究室、高西研究室、ヨース研究室、東原研究室の各学生さんたちと卒業生の高橋美由紀さんがあたりました。また、主催は文化学部(三浦要一学部長)ですが、開催の費用は共催の高知県立大学地域教育研究センター(清原泰治センター長)から拠出され、当日はセンターからは宗石道代課長が、また学務支援室からは岡本みつる課長がお手伝いに来てくださり、学部事務の塩田佑香さんは、記録の写真撮影を担当してくださいました。

 今年創業100周年となる武蔵野書院からは協賛として、ポスターとチラシを印刷提供していただきました。このシンポジウムの模様は、前回の『土左日記』のシンポジウムと同様、令和二年に武蔵野書院より、『萬葉集の散文学-新元号「令和」の間テクスト性-』と題して刊行されます。(文責・東原伸明)

令和


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