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【開催報告】社会的処方研究会「特別編」(2024年7月17日)
高知県立大学は、令和6年度から高知県立大学10年戦略「UoK Vision 2033」をスタートさせました。柱となる3つの戦略の一つ、「地域共生社会を支援する実践的な教育・研究」を進めていくため、地域を支える様々な立場の「人々がつながり合い」、地域に山積する課題を共に乗り越え、地域を再構築(リ・デザイン)するための取り組み=「リ・デザイン プロジェクト」を行っていきます。
そこで本学では、人と地域のつながりで人を元気にする取り組み「社会的処方」の実践と研究成果の地域還元を「リ・デザイン プロジェクト」の中核と位置付け、プロジェクトを発掘・検討・深化させるための様々な意見交換を行う場として「社会的処方研究会」を開催しています。
社会的処方研究会「特別編」(2024年7月17日)
2024年7月17日(水曜日)、社会的処方研究会の「特別編」を永国寺キャンパスにて開催しました。ライブ配信も行い、対面・オンライン合わせて140人を超える参加がありました。
今回の研究会の開催は、高知県立大学と高知県津野町が、今年3月に地域共生社会の推進に向けた連携協定を締結したことにはじまります。その取り組みの一つとして、約150年の歴史を有し、コロナ禍で中止となった津野町高野地区の農村歌舞伎を復活させようと準備を進めている津野町や高野農村歌舞伎保存会の意向を踏まえ、高知県立大学が多面的に支援するプロジェクトが始まっています。研究会では、高野農村歌舞伎の歴史や面白さ、また伝統文化の維持・保存・継承などへの課題などについてご講演いただき、高知県全体で伝統文化の保存や継承について考えるとともに、社会的処方の一つである「文化的処方※」について考えることを目的として開催しました。
※文化的処方:薬で人を健康にするのではなく人と地域のつながりで人を元気にする仕組みである「社会的処方」の一つで、地域の文化資源や芸術を有効活用し、人と人、人と地域をつなげ、人々の心のゆたかさやウェルビーイングを高める取り組み
まず、津野町郷土資料館 学芸員 田中 勝幸 氏より「土佐の農村歌舞伎とその舞台」をテーマにご講演いただきました。土佐の農村歌舞伎がどのように広がっていったのか、今どのようなものが残されているかなど、歴史や文化についてお話しいただきました。また、津野町高野農村歌舞伎が上演される「高野の廻り舞台」や、高野で演じられた歌舞伎演目などを紹介されました。
続いて、高野農村歌舞伎保存会 熊田 光男 氏より、「歌舞伎は私達の宝物=住民手作りの高野農村歌舞伎=」をテーマにご講演いただきました。熊田氏は、高野農村歌舞伎に役者としてだけでなく、会場設営や音響、撮影など、長年関わってこられました。舞台づくりから練習、当日の準備、本番まで、実際の写真やご自身の体験談を交えながら紹介いただきました。また歌舞伎公演の成果や反響、苦労した点などを振り返り、お話しいただきました。
発表に続いて行われた質疑応答では、浄瑠璃本などの資料の所蔵や、高野の舞台の屋根のふき替え、本学との連携などについて質問がありました。
参加者からは「歌舞伎の歴史・文化・苦労話や地域で大切に受け継がれていることが分かった」「伝統的な文化の継承は重要であるが、難しさも感じた」「歌舞伎の継承に少しでも何かできないかと考えるきっかけにもなった」「実際に歌舞伎を見てみたいと思った」「講演者の歌舞伎愛を感じ幸せな気持ちになった」などの感想をいただきました。
ご参加いただいた方々に心よりお礼申し上げます。
オンデマンド配信中
社会的処方研究会「特別編」当日配布資料 (PDFファイル:22.42MB)
社会的処方は大学だけで形作るものではありません。ぜひ社会的処方の取り組みを一緒に進めていきませんか。
社会的処方について学びたい、プロジェクトの内容を知りたい、何かしら大学と連携してみたい、など大歓迎ですので、お気軽にご参加ください。