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【開催報告】第3回社会的処方研究会(2024年7月19日)

ページID:0034378 更新日:2024年7月31日更新 印刷ページ表示

 高知県立大学は、令和6年度から高知県立大学10年戦略「UoK Vision 2033」をスタートさせました。柱となる3つの戦略の一つ、「地域共生社会を支援する実践的な教育・研究」を進めていくため、地域を支える様々な立場の「人々がつながり合い」、地域に山積する課題を共に乗り越え、地域を再構築(リ・デザイン)するための取り組み=「リ・デザイン プロジェクト」を行っていきます。

 そこで本学では、人と地域のつながりで人を元気にする取り組み「社会的処方」の実践と研究成果の地域還元を「リ・デザイン プロジェクト」の中核と位置付け、プロジェクトを発掘・検討・深化させるための様々な意見交換を行う場として「社会的処方研究会」を開催しています。

第3回 社会的処方研究会(2024年7月19日)

 2024年7月19日(金曜日)、第3回 社会的処方研究会を永国寺キャンパスにて開催しました。ライブ配信も行い、対面・オンライン合わせて約100人の参加がありました。

 今回は、社会福祉学部 矢吹 知之 教授が「社会的処方と認知症カフェ」について講演しました。矢吹教授は認知症カフェの普及・促進、効果測定に関する研究を長年おこなっており、今年の3月からは永国寺キャンパスにて認知症カフェを展開しています。

 まず「社会的処方」について、昨年度の連続講座の内容を振り返り、その課題と目標を提示しました。そして認知症カフェのモデルとされる、オランダの「アルツハイマーカフェ」について、文化的背景や考え方を解説しました。矢吹教授がおこなってきた「認知症の人を介護する家族への支援方法に関する研究」について説明し、そのうえでこれまでの研究・経験をもとに新たに立ち上げた「土曜の永国寺カフェ(認知症カフェ)」について、取り組みの背景、意義、活動等について紹介しました。

講演の様子1 研究会の様子2 

 質疑応答では、「土曜の永国寺カフェ」の今後の展望や、認知症カフェを運営するうえでのポイントなどについて質問がありました。

研究会の様子3 研究会の様子4

 参加者からは「オランダの事例を含めて認知症カフェの意義を説明していただき、認知症カフェに対しての理解がとても深まった」「海外の事例、県内でのカフェの現状や開始までの課題等、現場に根付いた講演で勉強になった」「社会的処方から認知症カフェを見て、地域とのつながりで認知症本人と家族が抱える問題にアプローチしていく必要性がわかった」「専門職としての関わりはもちろん必要だが、専門職である前に人として目の前の方と水平な関係で対話することを大事にしていきたいと思った」などの感想をいただきました。

 ご参加いただいた方々に心よりお礼申し上げます。

 

オンデマンド配信中​

第3回 社会的処方研究会 当日配布資料 (PDFファイル:12MB)

 


当日チャットでいただいたご質問につきまして、回答を公開させていただきます。 

Q. 日本がまずは包括でなく地域のインフォーマルとなるためにカフェは可能性があると思います。そのためカフェを設置する場所は診断する医療機関などが有効とお考えでしょうか。

A. 医療機関は、診断後支援として有効です。ただ、認知症カフェは地域に開かれたオープンな場所であるということを考えると、地域住民の入りやすさ、感染症の対策などで課題があると思いますので、工夫と配慮が必要です。

Q. アルツハイマーカフェが、認知症を怖いものと捉えずに、認知症を受け入れることを目的としているようにも感じました。以前から、認知症は、早期発見、早期絶望と言われてきました。早期絶望と思い込まれないように、日本の認知症カフェで、認知症を怖い病気では無いと思ってくれるように工夫をするには、どのような取り組みが必要でしょうか?

A. その通りだと思います。認知症を恐いものではないという思いを周知することは大切です。そのためには時間が必要です。そして当事者の発信も欠かせません。認知症カフェを継続し、その中でミニ講話などで繰り返し発信することは有効な手段です。怖いものとしないためにも多くの方に参加していただけるようなオープンなカフェを開催することが大切であると思います。ただ、怖い部分もあることは確かです。苦しんでいる方もおられることを忘れずに、幅広い支援の選択肢が必要だと思います。

Q. 認知症カフェもモデレーター研修を受けられた方々が増えたことで、一般の方達が入りやすくなってきているように思います。ただ、認知症は誰だ?といった、認知症本人探しが始まることもあったりして、イベントやミニ講話目当てで参加した人と、認知症の本人や家族との間の溝が深まってしまう事例も見受けます。そうなったときの回避策は?

A. 思いが交錯し分断されそうなとき、運営メンバーはできるだけ速やかに対処をしなければなりません。そうしたことが、生じ得るのが認知症カフェですから全体を見通す役割の方が必要です。これは、運営メンバー内で考えておかなければならない大切な課題です。

Q. カフェ開催時の事例などを記入していく必要性について教えてほしい。
また、事例を作成するに当たってこれは記しておいた方がよいという点があれば教えて頂きたいです。

A. 記録については、簡単でも良いので残しておく必要があります。内容は、参加者数、参加者の属性、経費、そして特記事項や備考として、その回に生じたこと留意事項などです。あまり細かな記録は不要かと思います。負担にならない程度で必要なことを残しておくことは次回につながります。


 社会的処方は大学だけで形作るものではありません。ぜひ社会的処方の取り組みを一緒に進めていきませんか。
 社会的処方について学びたい、プロジェクトの内容を知りたい、何かしら大学と連携してみたい、など大歓迎ですので、お気軽にご参加ください。

第3回社会的処方研究会の詳細はこちらをご覧ください。

第3回社会的処方研究会チラシ

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