文化学部の学び方LEARN

言語文化系日本語学・日本文学領域

井上次夫

井上次夫INOUE,Tsugio

役職
教授
専門分野
国語科教育学・日本語学
研究テーマ
教材開発論、語彙論・位相論
主な担当科目
国語科教育法、国語教育学講読、日本語学専門演習、教育実習、教職実践演習、日本語教育概論、日本語Ⅰ

MESSAGE

 大学生や社会人に求められる能力の一つに言語コミュニケーション能力があります。「話す」「書く」ことによって表現し、伝達する能力です。
 日常生活の中で誤って聞かれたり読まれたりするのは、一つには受ける側の理解不足や不注意が原因ですが、他方では伝達する側の拙さ・不注意が原因の場合も多くあります。例えば、話し言葉ではあいまいな発音、かぼそい声、早口などですし、書き言葉ではあいまいな表現、読みにくい文字、誤字などが考えられます。しかし、実は、いずれも表現し伝達する側の、受ける側に対する配慮に欠ける「一方的な自己表現」が大きな原因であることを自覚しなければなりません。いくら自分では表現し伝達したつもりでも、結果として誤解され、伝達されなかった場合に困るのは、結局は伝達した側になるからです。
 では、どのようにすれば正しく効果的に表現したり伝達したりする能力が身に付けられるのでしょうか。それは、表現し伝達するうえで持たなければならない精神、つまり「相手への配慮」の問題について認識することから始まります。
 このようなことに興味のある皆さん、中学・高校の国語教員を目指す皆さん、その精神の問題と日本語表現との関係について本学で私と一緒に追究してみませんか。

高西成介

高西成介TAKANISHI, Seisuke

役職
教授
専門分野
中国古典文学
研究テーマ
六朝唐代の古小説の研究
主な担当科目
中国語基礎Ⅰ、中国語基礎Ⅱ、中国文学史、中国文学講読(散文)、中国文学講読(韻文)、基礎古典、日本文学専門演習Ⅰ、日本文学専門演習Ⅱ

MESSAGE

 小さいときから不思議な話が大好きでした。枕元にそんな本を置いて、怖くて眠れなくなってしまったこともありました。長ずるにつれ、なぜだかわかりませんが今度は漢文訓読のリズムに惹かれるようになりました。あの端正で雄々しい独特のリズムに惹かれたのかもしれません。そうした病が嵩じて、大学では中国古典文学を学び、なかでも不思議な話が多い小説を専門に研究するようになって、今にいたっています。中国古典文学とのつきあいは、もうすぐ三十年になろうとしています。
 こんな長い年月を中国古典文学と向かい合ってきたにも関わらず、まだまだわからないことだらけです。解釈に苦しむこともしばしばです。だけど、不思議と厭くことはありません。今でも、日々新鮮な驚きと興味を持って漢字のみで書かれた文章と格闘しています。
 現代社会では、改めて「文学」を学ぶこと、研究することの意味・意義が問い直されています。役に立たない、と一刀両断されることもしばしばです。とはいえ、形のないもの、目に見えないものを取り扱うことのできる数少ない学問分野であり、人間という存在を考える上で欠くことのできない学問、それが「文学」だと私は思っています。また、中国の古典文学を学ぶことは、中国という外国を知ることと同時に、私たち日本人、日本文化を考えることでもあります。何より、そんな理屈を超越して、「文学」は面白い!のです。楽しくまた奥深い中国古典文学を、高知県立大学でみなさんと一緒に学ぶのを楽しみにしています。

橋尾直和

橋尾直和HASHIO, Naokazu

役職
教授
専門分野
日本語学・社会言語学
研究テーマ
地域言語(土佐ことば)の文化環境言語学的研究
東アジアにおける琉球・アイヌ・ヤマトの比較・対照文化言語学的研究
主な担当科目
日本語学概論、域学共生フィールドワーク、日本語史、日本語学講読、日本語音声学・音韻論、日本語学専門演習、地域文化資源論、文化学課題研究ゼミナール

MESSAGE

 日本語学研究室の演習では、地域言語を「文化環境」との関わりの中で調査研究することを目標として、フィールドワークによって得られた言語資料を基に、発表と討論を行っています。演習の内容は、たとえば、最近話題になっている「若者語」の実態調査を行い、社会言語学の視点から分析し、調査結果について発表したり、物部川や四万十川流域圏の民俗語彙、民具の方言呼称、民話などについて、文化環境言語学の視点から調査・分析し、発表しています。
 4回生の卒業研究の調査内容についても、演習の発表と討論の中に盛り込んでいますので、先輩の研究について直に触れることができます。日本語諸方言の意味論的研究、方言モダリティの語用論的研究、土佐ことばの文化言語学的研究、言語とジェンダーに関する社会言語学的研究、若者語に関する社会言語学的研究など、テーマは多岐にわたっています。
 私たちと一緒に、日本語を探検しましょう!!

東原伸明

東原伸明HIGASHIHARA, Nobuaki

役職
教授
専門分野
『古事記』や『源氏物語』などを中心とした古代日本散文文学と文学史(物語史)
研究テーマ
神話・物語文学のテクスト分析と言説分析、物語史的な研究
主な担当科目
日本語文章構成論、基礎古典、古典文学講読(散文)Ⅰ、古典文学講読(散文)Ⅱ、日本文学専門演習Ⅰ、日本文学専門演習Ⅱ、日本文学史(古典)     

MESSAGE

大変に「便利」で「不便」な私

 私が大学の頃の授業に、「コンピューターリテラシー」というような科目は無かった。そもそもパソコンが普及する以前であったから、現在のような携帯メールも、ネット通販も存在しない。当然、レポートも論文も手書きで、下書きをした後、苦労して原稿用紙に清書をした。卒業論文も手書きである。学部四年で就職する学生たちにとっては、「人生初めて」で、恐らく「二度とはしない厳粛な体験」であっただろう。同輩の友人が、「産みの苦しみだ」と嘆いたことばをよく記憶している。私自身は、進学したので修士論文の執筆で再度この経験をし、ワープロで論文を執筆するようになるまで、同じ苦しみを幾度となく味わった。だが当時の私は、そうした手書き的な常識を「不便」だとは感じなかった。下書きが、そのまま清書になるワープロは、たしかに「便利」なツールだが、その「便利」さは、ワープロを知った現在から過去を振り返った時の感覚に過ぎない。ワープロ執筆により手書きの数倍、原稿の執筆量は増え、比例して外注の依頼も増えた。締切日に間に合うように郵送しなくても、メール添付で送信、締切の当日に間に合ってしまう。昔ならば地方大学に在職する私などには来ないような東京からの原稿依頼も、編集者が請求に困らないからだろう、頻繁に来るようになった。むろん、締め切りを破らないという信義が最低条件である。昨年のこと、「同じ締切日で、分量50枚『源氏物語』の論文原稿を同時に二本執筆してほしい」という無茶な依頼を受けた。ともかく締め切りを守り、期末の忙しい時期に、更にその校正に苦しめられる結果となった。「便利」さとの引き換えに、これほどの代償を被らなければならないとは……。慢性的な肩凝りと腰痛に悩まされている私は、大変に「便利」で、同時に「不便」な世の中に生かされているらしい。

田中裕也

田中裕也TANAKA,Yuuya

役職
准教授
専門分野
日本近代・現代文学
研究テーマ
三島由紀夫を中心とした戦後文学、文学理論、検閲研究
主な担当科目
近代文学講読、現代文学講読、日本文学概論、日本文学史(近代)、日本文学専門演習Ⅰ、日本文学専門演習Ⅱ

MESSAGE

 近代文学のテクストは娯楽としてだけではなく、当時の社会背景や文化・思想なども織りこまれています。私たちにとって近代とは比較的近い時代であるのに、既に現在の私たちが忘れてしまった風習や文化などが文学テクストのなかから発見されることもあります。そうした風習や文化などを発見することは、研究上とても意義があることだと言えます。
 しかし文学テクストは文化や風習を写し取ると同時に、現実を飛び越えた可能性を描くこともあります(SF小説などが想起しやすいでしょうか)。つまり小説は現実の要素を写し取ると同時に、現実からはみ出た要素も描くのです。そうした現実を飛び越えたものを書くことによって、いったい何を描こうとしたのか。文学はフィクションであるがゆえに容易に現実をも超えてしまうのです(可能世界)。そうした人間の豊かな創造性を理解するのは、文学作品を研究する者にとっての醍醐味の一つだと思います。学生には少しでも文学研究の楽しさが分かってもらえればと思っています。

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