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看護学部 立木隆広教授、德岡麻由助教、地域教育研究センター(現地域共生学研究機構) 高徳希准教授の研究が「生命(いのち)の基金」助成事業に採択され、2026年3月25日(水曜日)に助成金贈呈式が行われました。
「生命(いのち)の基金」は、全ての人が自分の住む地域社会で心豊かに暮らせられるよう医療の充実、振興を図ろうと、治療、研究、救済・支援活動に取り組む人たちに援助の手を差し伸べるため発足され、地域社会における医療振興を図る諸活動の奨励・助成を行っています。
採択された研究は以下のとおりです。
世界的な高齢化の進行により、フレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)は最も重要な健康問題の一つとなっている。近年では、フレイルは身体的側面のみならず、精神・心理的、社会的側面を含む多面的概念として捉えられるようになった。
我が国において健康寿命を延伸するためには、日本人高齢者におけるフレイルのリスク要因を明らかにし、効果的な予防策を構築することが不可欠である。生活習慣はフレイルのリスク要因として最も重要視されているが、喫煙や飲酒とフレイルの関連を検討した多くの先行研究は、身体的フレイルに限定した検討が多く、フレイルの多面性に注目した検討は十分に行われていない。また、喫煙と飲酒の交互作用がリスク要因としてどの程度であるかについても十分に検討されていない。
本研究では、地域在住日本人高齢者を対象に、喫煙および飲酒、ならびに両者の交互作用と多面的フレイルとの関連を明らかにすることを目的とする。
研究者情報
看護学部 立木 隆広 教授
https://www.u-kochi.ac.jp/site/researcher/tachiki-takahiro.html
高知県では、10代の人工妊娠中絶率が長年全国平均を上回るという重要な課題を抱えている。近年は、インターネットの普及による性情報への早期接触や性暴力防止を含む包括的な性教育の必要性が高まり、生徒を取り巻く環境は複雑化している。そのため学校関係者や助産師・保健師をはじめとする医療従事者など多職種が連携した、体系的な性教育の取り組みが不可欠である。しかしながら、現状はそれぞれの専門性や経験に基づいて性教育が展開されており、情報共有の機会は乏しく、県全体の実態や課題・ニーズは十分に把握されていない。
德岡助教は2024年に「いのちのはじまり」を体験的に学ぶことができる「Beans Education Project Card(BEPカード)」を開発し、県内の助産師や養護教諭などに活用され高い評価を得ている。
本研究では、BEPカードという独自性の高い教材とこれまでの実践的知見を活かし、性教育従事者を対象に高知県の現状を把握し、結果を基にBEPカードを用いた新たな性教育方法を提案する。さらに、性教育従事者同士が互いの活動について共有し、情報交換できる場を創造することで地域課題に即した包括的性教育実践の基盤構築を目指す。

研究者情報
看護学部 德岡 麻由 助教
https://www.u-kochi.ac.jp/site/researcher/tokuoka-mayu.html
本研究の目的は、高知県在住高齢者を対象に、歩行機能の「質」に着目した実態調査と評価テストを開発することである。十分な歩数を達成できるかどうかは物理的な歩行環境の影響も大きく、そのような環境下でも歩行機能を低下させないためには、歩数など量的指標だけでなく、「どのように歩いたか」という質的評価も重要である。
本研究では歩行機能の質の指標として「歩幅」に注目し、iPadのみで記録・解析が可能なマーカーレス3D動作解析アプリを用いて既存の歩行機能テストに歩幅や関節角度姿勢特性等からの評価を加えた新たな評価テストを開発する。さらに、日常生活における歩行機会への意識にも着目し、歩行機能テストと併せて日常生活行動表の記録を加えた総合的評価テストへと発展させ、持続可能な行動変容につなげる仕組みづくりを目指す。将来的には全世代への応用も見据え、歩行機能の「質」に着目した評価テストを活用した身近な拠点づくりからゼロ次予防モデルへとつなげていきたいと考えている。

研究者情報
地域教育研究センター(現地域共生学研究機構) 高徳 希 准教授
https://www.u-kochi.ac.jp/site/researcher/takatoku-nozomi.html