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公務員を目指すにあたって、教員免許が取れる高知県立大学への進学を決めました。
公務員は社会貢献ができ、ワークライフバランスも充実していると思い、公務員になりたいと思っていました。業種は教職なのか、行政職なのかまでは決めていませんでしたが、どちらにせよ資格はあった方がいいと考え、教員免許が取れる大学への進学を希望することに。高校時代から就職は高知で、ということは心に決めていましたので、大学の間は都会へ!という思いもありましたが、総合的に検討し教員免許の取得を目指せる高知県立大学への進学を決めました。
留学制度をコンプリートし、ゼミの活動や学外でのラジオパーソナリティなど、他の大学では得られないような経験をさせてもらいました。
県立大学の文化学部は国語と英語の教員免許取得が目指せますが、英語の方が将来的に役立つかなと思い、英語をメインに学びました。大学時代に学んだ外国語は、英語と中国語。幼い頃から海外旅行に連れて行ってもらっていたこともあって、海外文化への興味もありましたので、1回生ではアメリカへ3週間、2回生ではイタリアへ2週間、3回生で台湾へ1年間と、ありとあらゆる大学の仕組みを使って、留学させてもらいましたね。当時、私ほど留学制度を使った人はいなかったんじゃないでしょうか(笑)
(写真)3回生での台湾・文藻外語大学への留学にて。大学の運動会に留学生チームでリレーに参加した時の様子と、十份に旅行で訪れた際にランタン飛ばしを体験した時の様子。
県立大学は先生との距離もとても近く、在学中に親しくしてくれた先生から突然「ラジオ番組をやってみないか」と勧められ、学生3、4人でR K Cラジオのパーソナリティもやっていました。学生たちがただただ30分話す番組でしたが、これって絶対普通だったらあり得ないこと。他の大学に進学していたら経験できなかったことをたくさんさせてもらって、本当に楽しい4年間でした。
―印象に残っている学びはなんですか。
就職は高知でと決めていたので、県の課題である防災対策の向上に対する知識が少しでもあった方が就職活動に活かせるのではと思い、“イケあい地域災害学生ボランティアセンター”という学内の防災サークルに所属していました。
当時、そのサークルを立ち上げたのが東日本大震災を経験した先輩で、その方が高知は被災地ではなく、未来に被災するであろう地、また未だ被災していない地、造語ですが“未災地”と名付け、その未災地を県外の方向けに案内する“未災地ツアー”を企画し実行しました。
また、地域の夏祭りや運動会に赴き、既存のプログラムのなかに防災要素を取り入れさせてもらう働きかけも。例えば、障害物競走にプラスして、ヘルメットを被って長靴履いて行うみたいに、楽しみのなかでも防災を取り入れる活動をサークル内で考えて、様々な場所で活動をしてきました。ありがたいことに、学生ならではの発想に加え、地域と共に防災活動を継続していることが評価されて、表彰されたこともありました。
■平成28年度 立志社中 活動成果報告書
https://www.u-kochi.ac.jp/book/list/book102.html
※“イケあい地域災害学生ボランティアセンター”の活動報告は38~41ページに掲載
学生時代にサークル活動で学んだことを活かしつつ、市民の方とより近い場所で関わることができる行政職を選びました。
在学中に就職について検討し、地域住民と協働する行政事務職を目指すことに。県庁ももちろん選択肢にはありましたが、異動を考えると県内全域は範囲が広いし、もう少し市民の方と近い行政がいいなと思ったので、就職希望先は高知市役所一本に絞りました。おかげさまで、2019年の春に、高知市役所へ入庁し、1年目から4年間は“防災対策部 地域防災推進課”という部署で勤めました。地域防災推進課は、地域の防災力を向上させるために取り組みを考える部署です。毎年1度は、どの地域でも防災訓練というものがありますが、その訓練について地域の方と計画を立てたり、行政側が作っている計画の説明をしたり、訓練の様子を観に行くのも大事な仕事です。大学時代にサークルで学んでいたことが、少なからず活かせたんじゃないかなと思っています。
大学での経験を活かしつつ、生活保護受給者の方々への対応に日々励んでいます。
行政職なので、約3〜5年周期で部署異動もあり、私は入庁して5年目の春から、今所属している“健康福祉部 高知市福祉事務所 第一福祉課”で働いています。
主な仕事としては、生活保護受給者の生活状況や困りごとの把握、保護費の計算、そして自立への援助です。生活保護の費用は税金なので、働ける人には働いてもらわないといけませんし、資産がある人には売ってもらわないといけません。どれくらい預貯金があって、どれくらい生活に困っているかシビアな話もしなければいけないし、実際に家庭訪問を行い、生活していく上で困りごとはないか、対話を通して見つける必要があるため、月に半分以上は市役所を出て、担当の市民の家へ家庭訪問をします。
非難や強い言葉をかけられることもある仕事で、対人関係がうまくいくかの良し悪しもあります。しかし、市民の困りごとに耳を傾け、一緒に解決方法を見出し、ゆっくりではありますが、生活保護から自立していく方たちの支援ができるという点でやりがいを感じます。
私は大学時代のラジオの経験で、声だけで伝える力というものも学びましたし、外国語をうまく喋れないまま留学をして、苦労した経験もあるので、あまりへこたれない方だと自負しています。
大学で学んだ外国語に触れる機会が今は少ないので、また勉強もしたいなと思っています。
今の業務内容でも、年に数回くらいは大学時代に学んだ語学が役に立つことがあります。実際、中国籍の方の対応で、役所内には通訳のできる職員もいるのですが、少し話せるだけで喜ばれるので、語学を学んでおいてよかったなと思います。ですが、やはり使わないと分からなくなるので、せっかく時間もお金もかけて身に付けた英語や中国語に触れる機会を作ったり、新たに勉強したりしたいなぁと思っています。また外国にも時間を作って旅行に行きたいですね!
社会人になると、お金はあっても自由に使える時間が必然的に少なくなります。高校までは勉強と部活で忙しいし、大学生の時が興味があることを少しずつ試せる時期だと私は思います。これまでプライベートも合わせて、いろんな国へ行きましたが、県立大学のプログラムで行ける台湾の文藻外語大学への留学は本当に行ってよかったです。台湾は親日国なので、安心して過ごすことができますし、台湾の大学生は皆、3、4か国語話せて当たり前。日本と世界の大学生の学ぶ意識の差を感じたのは、自分にとってとても良い刺激になりました。
私みたいに語学を使わない仕事に就いたとしても、人生の大きな経験になるし、世界に友達がいることや、留学でしか得られないものはたくさんあります。私がいた時より留学制度はさらに良くなっているのに、今の学生さんは行きたい人が少ないと聞きました。少しでも興味があれば、喋れなくてもいいし、多少無理をしてでも行った方がいいと経験者として強く思います。身軽で気軽に外国に行けるのは、大学時代だけ。短期でもいいので、留学して外の世界を見ること、声を大きくしておすすめしたいです!
※所属・職名等は掲載時点のものです。