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テーマ:救急・集中治療領域における緩和ケア
日 時:令和6年2月13日(火曜日) 18時30分~20時00分
場 所:高知県立大学共用棟(D220) ハイブリッド開催
参加者:15名(オンライン5名、会場10名)
内容:
クリティカルケア看護学領域では、臨床現場で働く看護師とともに急性・重症患者やその家族に対するケアの質の向上を目的として、クリティカルケア看護学領域ケア検討会を年2回開催しています。今回は、「救急・集中治療領域における緩和ケア」というテーマで事例検討とミニレクチャーを行いました。
高齢で認知症があり、過去に交通事故で両下肢を切断しているが、家族とは数年間疎遠で独居生活を送っていた患者が、間質性肺炎のため呼吸困難が強くなり緊急入院となったケースについて考えました。
まず、患者の状態や社会背景などについて確認し、患者と関わるうえでどのようなことに悩むかなどについて話し合いました。意見としては、患者の呼吸状態や今後の治療方針の予測、家族と疎遠になっている理由、家族が側にいないことによる寂しさ、患者の入院前の日常生活の様子、認知症がある患者の意思決定能力の判断などがありました。
次に、緩和ケア、Comfortケアの視点をふまえて、患者へのケアをどのように考えるかについて意見を出し合いました。
患者の背景(両下肢切断後も独居で生活してきた)から、できることは自分でやりたいという意思が強いことが推察されるため、患者の呼吸困難の緩和のために鎮静剤を使用する際には、患者の意識を保つことができるように調整し、患者のコントロール感覚を支える関わりが大切だという意見が出ました。また、家に帰って整理をしたいという発言から、患者が何を整理したいと思っているかを確認し、物やお金の整理だけでなく、家族との関係性やつながりにおいても介入できることがないかを考え、精神的な安寧につても検討しました。さらに、自分の病状から死を意識せざるを得ない状況にある患者にたいして、患者が最期をどのように迎えたいかを確認することの難しさについても共有することができました。
最後に、「クリティカルケアにおける緩和ケア」というテーマでミニレクチャーを行い、日々の実践における患者との関わりを思い出しながら、緩和ケアの概念や重症患者のComfortの要素について確認しすることで、重症患者の緩和ケアは治療とともに常時実践されていること改めて実感し、患者に関心を持ち向き合うことの重要性を再認識する機会となりました。
テーマ:救急・集中治療領域における緩和ケア
日 時:令和5年6月13日(火曜日) 18時30分~20時00分
場 所:高知県立大学共用棟(D220) ハイブリッド開催
参加者:16名(オンライン3名、会場13名)
内容:
クリティカルケア看護学領域では、臨床現場で働く看護師とともに急性・重症患者やその家族に対するケアの質の向上を目的として、クリティカルケア看護学領域ケア検討会を年2回開催しています。今年度は、「救急・集中治療領域における緩和ケア」というテーマで事例検討を行いました。
既往に気管支喘息があり、長年、内服と吸入で自己管理をしながら妻と二人三脚で自営業を営んでいた壮年期の患者が、発熱・咳嗽が出現していたにもかかわらず仕事を続けており、1週間後、強い呼吸困難感を伴い、救急搬送となったケースについて考えました。
まず、患者の身体状況や入院までの経過、生活背景について確認し、患者や家族の体験についてディスカッションを行いました。意見としては、自覚症状がありながら受診に時間がかかった理由、仕事や経済面への気がかり、患者・妻それぞれの病状説明に対する反応や理解度、どこまでの治療を望んでいるか、などがありました。
次に、緩和ケアの視点をふまえて、患者・家族へのケアについて検討しました。患者の治療やケアの方向性を検討する際に、家族と情報共有しながら喘息発作の要因、熱源を検索していくことや、喘息重積発作に関するガイドラインを活用しながらチームで判断していくことの重要性について共有しました。患者の苦痛を緩和するためには、鎮痛・鎮静剤の投与を行いながら、安楽な体位や呼吸法を検討することが重要であるなどの意見がありました。また、患者は呼吸困難から死の恐怖を感じており、妻は自責の念が強く、患者も妻も危機的状況にあると推察され、危機理論理論の視点から、心理・社会的側面についてもアプローチしていくことの必要性を再認識する機会となりました。
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