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【テーマ】ジェネラリスト?スペシャリスト?人材育成のベストバランスを探る
【日時】令和5年6月9日(金曜日)18時~20時30分
【方法】ハイブリット開催(Zoom又はA219)
【参加者】28名(外部参加者18名、大学院生8名、教員2名)
【報告者】高知県立大学看護学研究科 博士前期課程 尾崎裕美
令和5年度1回目のケア検討会は、人材育成をメインテーマとして「ジェネラリスト?スペシャリスト?人材育成のベストバランスを探る」と題して、事例検討を行いました。
日本看護協会は、ジェネラリストを「経験と継続教育によって習得した暗黙知に基づき、その場に応じた知識・技術・能力が発揮できる者」と定義しています。一方、スペシャリストは、特定の分野に卓越した知識と技術を有した看護職と考えられています。
事例提供者の部署である手術室では、特定の診療科に特化したスペシャリストナースの育成を重視してきましたが、スタッフ間で手術件数にばらつきが生じることや、緊急時に入れるスタッフが限られてしまうなどの課題がありました。そこで、ジェネラリストとスペシャリストのバランスをどのようにとりながら人材育成していくことが大切なのか…こうした悩ましい状況が今回のケア検討会では議論されました。
参加者からは、それぞれの各現場での率直な困り事についての意見が挙げられました。管理者の交代に伴い人材育成の方法が変わることは、スタッフにどのように伝わっているのか?その新しい方法を定着させていくための戦略とは?スタッフが新しいやり方に主体的に取り組めるような仕組みづくりや具体的な工夫とは?等、自組織の手術室でも苦慮している具体的な問題についても共有しながら、多様な現場で看護管理実践を展開している参加者とも熱いディスカッションが行われました。ディスカッションをしていく中で、事例提供者は管理者としてスペシャリストとジェネラリストのバランスをコーディネートしながら、スタッフの声にも真摯に向かいあい変革を推進していく姿が見えてきました。
事例の内容とは別に、参加者から事例提供者に対して、スタッフの部署異動に関する対応についての質問が見られるなど、現場で悩みを感じている管理者が意見交換をすることでそれぞれの視野が広がっていく場になっていました。
最後に大学院生からは、事例に関連した「手術看護における経験年数別の看護実践に関する実態調査」「中堅の中間看護管理者がとらえる人材育成に関する問題」という2本の論文紹介があり、文献を踏まえての意見交換も行われました。
事例提供者が管理者として、目指す看護師像をスタッフに示し、熱い思いを持ち、人材育成や組織改革に取り組まれていることに刺激を受けた参加者にも良い波及効果が得られると期待しています。また、人材育成というテーマは、多くの管理者が、悩みながら、より質の高い看護を提供できる組織を目指して、その方法を模索している、永遠のテーマなのだと再認識する機会となりました。
【以下 アンケート結果一部紹介】