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慢性看護学(令和5年度)

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ページID:0030301 更新日:2023年8月29日更新 印刷ページ表示

リカレント教育・ケア検討会​

第1回 リカレント教育・ケア検討会

テーマ:脳出血後の ADL 低下から糖尿病悪化をきたした壮年期女性

~生活環境の激動と苦悩~

日時:2023年7月14日(金)18:00~19:30

場所:webオンライン開催

参加者:11名(看護職者7名、教員4名)

 

 慢性看護学領域は、2019~2023年度「高知県糖尿病保健指導連携体制構築事業」において高知県血管病調整看護師を育成してきました。血管病調整看護師は、各モデル病院で従来のリアクティブ・ケアからプロアクティブ・ケアへとケア提供の仕組みを変えるべく、階層プログラム構築やケア・コーディネーションに取り組んでいます。

 これまでのケア検討会では、大学院生や修了生の慢性看護実践を取り上げてきましたが、今年は前述の事業が最終年度を迎え、血管病調整看護師の実践も徐々にプロアクティブ・ケアを意識した実践へと移行してきているため、その取り組みの実際を広く周知したいと考えます。そこで、今年のリカレント教育・ケア検討会では、血管病調整看護師の実践事例を通じて、階層プログラムのレベル別対象者へのケア・コーディネーターの実践について、理解を深める機会を提供したいと思います。

 今回の事例は、脳外科外来で脳出血後の患者をフォローしていたところ、血糖コントロール不良から糖尿病内科の共診開始となり、糖尿病専門医から血管病調整看護師へコンサルテーションされた事例についてのケア調整を取り上げました。突然の血管病重症化による生活環境の激動で社会支援や社会経済的安定が低下し、抑うつ状態やあきらめを呈していた成人に対し、血管病調整看護師が院内外の保健医療福祉多職種をネットワーキングし、ケア調整を進める過程で、患者が身体面・心理社会面・精神面にめざましい快復を遂げた事例です。

 血管病調整看護師による外来でのインテイク面談や定期面談を通して、患者の抑うつ状態やあきらめの背景には、脳出血の後遺症による社会的役割の喪失、神経発達症の子ども(成人)の将来への心配、配偶者との心理的距離、生活の不安定があることが迅速にアセスメントされました。そして、患者が壮年期であるがゆえの社会資源の少なさや、医療サービスだけでは補えきれない「生活の安定」に向けたサポートの必要性が課題として挙がりました。血管病調整看護師は、患者との対話を通して意思決定を支援し、解決を優先すべき問題と短期目標を一緒に明確化し、院内外の多職種ケアを調整していきました。一方、血管病調整看護師からはケア調整が難しい点として、地域の非専門職とのネットワーク構築が課題提起されました。

 参加者からは、血管病調整看護師の看護面談における患者の思いを引き出すコミュニケーションやアセスメントのスキルについて感心や教示を求める声が聞かれ、医療機関の地域で担う役割や多機関とのネットワーキング状況によって課題解決の方法が異なるなど、体験の共有や意見交換がなされました。

 次回のケア検討会は、12月15日(金)を予定しています。臨床現場で悩む多くの方に血管病調整看護師の介入やケア調整について知っていただき、明日からの実践のヒントとなるように、今後も皆様と学びを深めていけたらと思います。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。


お問い合わせ:
内田研究室 Tel&Fax 088-847-8720 e-mail uchida★cc.u-kochi.ac.jp
e-mail送信時には★は@に変換をお願いします


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