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日 時:令和5年6月22日(木曜日)19時00分~21時00分
場 所:看護学部棟C326演習室、zoom開催
参加者:15名(本学大学院修了生7名、他大学院修了生4名、教員4名)
令和5年度 第1回の精神看護学領域ケア検討会(C N Sの会)を6月22日(木曜日)にzoomで開催いたしました。この春、大学院を修了したC N S候補生たちも参加くださり、それぞれの場所でC N Sとしての視点を持ちながらスタートを切った様子について報告もあり、とても心強く感じました。
今回は「精神科領域における人生最終段階の意思決定支援」をテーマとし、事例や組織の取り組みについてご紹介いただき、意見交換を行いました。
まず、初めに、近年の精神病院では入院が短縮化し、外来通院で精神症状を維持しながら地域で暮らす患者が増えている一方で、入院が長期化している患者は高齢化し、身体疾患を合併し、何らかの身体的な治療を受けながら療養している患者が増えている状況があることが共有されました。そして、精神科病院では身体治療を十分に行える物理的な環境や人的環境がなく、医療者も「本当にここで患者さんが療養していていいのか」というジレンマを抱えていること、また、気がつくと患者は人生の最終段階となり、患者や家族にD N A R(Do Not Attempt Resuscitation:終末期医療において心肺停止状態になったときに、二次心肺蘇生措置を行わないこと)について考えたり、意思表示をしていただくタイミングをのがしてしまいがちであること、医療者間でもD N A Rの認識が異なること、多職種で介入していくシステムが確立されていないこと、などが語られました。その中で、C N Sはチーム内や多職種間の調整を図りながら、関わる人達の意見の集約をする役割も取っていました。
ディスカッションでは、家族、患者、医療者を含め、倫理的テーマに潜む本音と建前が見え隠れするコミュニケーションの難しさや、組織によって提供可能な医療の違いなどについて意見交換が行われました。
参加者の経験もC N S候補生から10年以上の経験者までと幅広くありましたが、倫理調整の基本的な介入ステップの再確認となったや、看取りなどは体験したことはなかったが、徐々に自組織にもそうした課題が迫ってくる可能性があり、考えるよい機会となったなどの感想をいただきました。精神科医療においても、身体的医療や終末期ケアが無関係ではなくなっている状況について、再認識する機会となりました。
今年度もWeb開催で行っていきます。本学の卒業生だけでなく、C N S同士のつながりでネットワークも拡がり、活性化しています。次回は9月に開催予定です。精神看護専門看護師の皆様、精神看護専門看護師を目指そうと考えている方、卒業生・修了生の皆様のご参加を心よりお待ちしています。