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舞と踊りの場 舞台と路上/神座の「山」/「山」の発想
舞と踊りの違いは何でしょうか? 芸能の上では、舞とは「踏んでまわる」所作で、舞台の上で一人で行うものが多いとされています。一方、踊りは「踏んで飛ぶ」所作で、元来は路上で集団で行うものでした。どちらも「腰を入れて踏む」のが要あり、それが日本の芸能において大事な共通項であるといえます。
講義が進むにつれ、話題は「山」に及びます。「山」は神様の住むところ、いわゆる「神座(かみざ)」であるという古来からの考え方が紹介されました。舞や踊りを奉納する舞台=祭りの中心には、神様がおわす場所=「山」がなくてはならぬものだったのです。現在の祭りに、山車(だし)や山鉾、つくり山があるのは、そこから発想されたものでした。
また「山」に見立てた「木」が、祭りの中心となることもあります。
今回の講義では、信州松本・諏訪神社の「御柱祭」の映像が流れました。山から切り出してきた大木を諏訪神社境内の四隅に立てるというお祭りで、大木は山の神様として迎えられます。「山」または山に見立てた「木」を、神の座と考える、原初的な信仰が色濃く残っています。