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第6回越境シリーズ講座では、「地方における医療制度・政策について ~個人情報が命を救う~」をテーマに、津田塾大学総合政策学部の森田朗教授によるご講演が、2月14日(金曜日)に開催されました。本講演会は、池キャンパスから永国寺キャンパスへテレビ会議で同時配信されました。
森田先生のご講演では、前職の国立社会保障・人口問題研究所での研究内容について、まず人口推移や人口変化の現状・メカニズムを基に、全国と高知県の人口動態についてダイナミックなグラフや図を用いて視覚的に分かりやすくご紹介いただきました。それによると少子化対策をしても人口は2060~2080年まで減少していき、大都市部への人口集中、大都市部での高齢化は進んでいくため、今後は人口減少が進むことを前提に、国づくりや政策提言をしていくことが重要であることが示されました。
また、人口減少による医療分野の課題:地域医療の質の低下、医師の養成と地域や診療科による医師不足についてもご紹介いただき、今後は遠隔診療や在宅医療、地域包括ケアが重要視され、病院・診療所の連携や情報共有が大事であることをお話しされました。
最後に、多様な災害が相次ぐ現在、災害ごとに対応を考えていたら間に合わなくなる恐れがあるため、例えばマイナンバーを介した平時からの、安否、位置、財産情報等の情報蓄積とそれに係る情報システムの構築が必要であると提言されました。
昨今、「少子高齢化」という言葉をよく耳にしますが、人口減少問題を改めてデータでご紹介していただいたことで、今後の課題について、より身近な自分事として考えることができました。またマイナンバーを介した情報システム形成による災害時の対応など、大学全体で南海トラフ地震対策に取り組んでいる本学にとって、大変貴重なお話をお伺いすることができ、新しい知見を与えていただけたと思います。
森田朗先生、ありがとうございました。
森田 朗(もりた あきら)先生のご紹介
津田塾大学総合政策部教授。東京大学法学部卒業後、行政学、公共政策の研究者として、東京大学大学院法学政治学研究科教授、東京大学公共政策大学院教授・同大学院院長、総長特任補佐、東京大学政策ビジョン研究センター長、学習院大学法学部教授などを歴任。東京大学名誉教授、前厚生労働省中央社会保険医療協議会会長。2014年から2017年まで国立社会保障・人口問題研究所所長を勤められました。2017年度から現職。