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第18回学際的交流サロンでは、文化学部の菊池直人准教授から発表がありました。2012年施行の「消費者教育の推進に関する法律(消費者教育推進法)」では、従来の消費者被害防止のための知識習得に傾倒しがちだった消費者教育に加え、消費者自らが参画する消費者市民社会の形成を目標に掲げました。それに応じて、自治体は新たな消費者教育推進計画を策定し、消費者教育を展開しています。今回のテーマでは高知県と各教育機関との連携を中心とした事例を挙げながら、本法の目的及び課題等について報告されました。
消費者問題が起こる背景は、消費者と事業者間の情報の質や量及び交渉力等の「格差」によって生じ、本来であれば真実を伝えなければならない事業者が十分な情報開示を行わないことが原因で、第二次世界大戦後、大量消費が増えるとともに消費者被害も世界的規模で増加してきました。その後、日本では2004年施行の消費者基本法において消費者の権利を明文化し、基本理念に定め、消費者関連法の整備が行われました。しかしながら、権利を行使するためには消費者自身が権利主体・責任主体としての自覚を持つ必要があり、消費者教育の必要性が出てきました。消費者被害に遭わないためにも、各ライフステージに応じて、(1) 消費生活に関する知識を習得し適切な行動に結びつける実践的能力や、(2) 主体的に消費者市民社会の形成に参画し、発展に寄与できる消費者の育成が必要となります。
本学が行っている活動としては、2010年度からの高知県立消費生活センターと高知短期大学との連携講座「消費生活論」を継承する形で、2017年度から「現代生活論」の連携講座を行っています。本講座は本学の正規科目に位置づけられる一方で、消費生活センターの「消費生活講座」として一般に開放される公開講座となっています。その他にも学生が地域学実習IIの一環として参画した消費者教育イベントについても紹介されました。
本セミナーを通じて、消費者一人ひとりが主体的に消費について考え、様々な情報を得ることや他者や社会、環境に配慮して行動することが重要であることを実感しました。
【 参加者数 : 合計42名(発表者含む) 会場 8名、Zoom 34名 】