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高知に帰って保健師になる! 県立大で過ごした2度目のキャンパスライフ。

ページID:0035851 更新日:2025年2月18日更新 印刷ページ表示

淺羽成実さんは高校卒業後、関西の大学へ進学しましたが、土地や食が肌に合わないという気持ちを抱えて4年間を過ごしました。その後、高知へ帰りたいという強い思いと、興味を持った保健師という職を目指すため、高知県立大学へ入学。気持ちは変わることなく卒業後は保健師として高知県庁に入庁し、現在は出向先の厚生労働省(霞ヶ関本省)で働いています。

浅羽成美さん写真1

【Profile】
淺羽 成実 さん
厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 保健指導室​
2021年 高知県立大学看護学部看護学科卒業

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Q1 本学に進学を決めた理由を教えてください。

一度県外で大学進学しましたが、将来について考えた結果、高知で保健師を目指すため、この大学に入学することを決意しました。

 生まれは高知ですが、親が転勤族だったので高知と愛媛、2つの土地で高校卒業までを過ごしました。それもあって卒業後の進路は「四国を出てみたい!」と、関西にある文系の大学へ進学。国際的なことが学べると思って選んだ大学でしたが、いざ就職のことを考えたとき、やりたいことが全く思い浮かびませんでした。一般的に文系の大学からだと銀行や民間企業に就職する方が多いのですが、私にはその方面への就職はしっくり来ず。加えて、一度四国を出てみたものの、土地や食が肌に合わず、高知に戻りたいという気持ちが次第に大きくなっていたんです。

 将来についてじっくり考えたときに心に残ったのは「高知に帰りたい」という気持ちと、授業で学んだある分野のことでした。それは医療に関する分野のこと。たくさんある授業の中でも、医療費をどうやって抑えるか、などといった医療についての授業内容に興味があったことを思い出し、そこで初めて保健師という職業へ意識が向かったんです。関西の大学を卒業後「高知に帰って保健師を目指そう!」と見つけたのが、高知県立大学。長い歴史のあるこの大学で保健師になれたら、と思ったのが県立大に決めたきっかけでしたね。

 

Q2 どんな学生生活でしたか?

勉強漬けの4年間でしたが、同じ道を目指す友人たちと励まし合いながら頑張りました。

 1度目の大学生活は、文系だったのでキャンパスライフを満喫したって感じでしたが、県立大では打って変わってすごく忙しい日々でした。看護のカリキュラムがみっちり詰まっていて、一日中授業があるし、実習も大変。4年間、本当に勉強漬けの毎日で、それまでのキャンパスライフとのギャップが大きく、我ながらよく頑張ったなぁと思います。ただ、周りもみんな同じ方向を向いた仲間だったので、励まし合って頑張れたというのが大きかったと思いますね。私たちの学年は80人で、高校卒業後ストレート入学ではなかったのが、私ともう一人の2人だけ。それもあって、はじめは18歳のふりをしてごまかしてたんです。みんなストレート入学なので、何も言わずともしばらくはバレずに過ごせていましたが、年代ならではのトークになると、だんだんボロが出ちゃって結局バレましたけど(笑)それもまたいい思い出です。

 

―印象に残っていることはなんですか。

​ 一番思い出に残っているのは、3回生の時の地域看護の実習です。6人くらいのグループを組み、地域の方々に向けて健康講座を行うための発表資料を作りました。健康について、地域の方々に伝えるためにはどうしたらいいのか、分かりやすく伝えるにはどう工夫したらいいのか、というのをグループの皆で話し合っていく作業は、案外簡単ではなくて。しんどいことももちろんありましたが、みんなでワイワイと協力して一つのことを作り上げていったのがすごく楽しかったなぁ、と今でも思い出します。発表資料が出来上がった後は、実際に地域の方々に集まってもらって、栄養の大切さについてプレゼンテーションも行いました。私が4回生の時、コロナ禍に直面してしまったので、一番体験したかった保健師の地域実習には行けませんでしたが、3回生のその経験が出来て、本当に良かったと思います。高知県内で保健師就職した友だちとは今も時々連絡を取っていて、西は宿毛市、東は東洋町と、皆、市町村の保健師として活躍していますよ。

 浅羽成美さん写真2​ ​

 

Q3 保健師として働き出してからのことを教えてください。

保健師として高知県に入庁し、あっという間に4年が経ちました。

 大学のカリキュラム上、看護師になるための勉強や実習の割合がもちろん多いですが、在学中、看護師として働くという選択に至ることはなく、就職については保健師一本で変わりませんでした。大学生活後半くらいから就職先を考え始め、元々政治や政策に興味があった自分には、高知県庁への就職が合っていると思ったので、4回生の夏に県庁の試験を受け、無事卒業後に保健師として入庁することが出来ました。

 入庁後は、四万十市にある保健所に配属。そこで3年間保健師業務にあたりましたが、私が働き始めた頃、世の中はコロナ禍真っ只中だったので、社会人として働き始めの初年度は、右も左も分からないままコロナの対応ばかりをしていたような気がします。通常業務と合わせて覚えることも多くて、忙しかったですね。

 実際の仕事としては、初めの2年間は精神保健の担当、3年目で難病の担当をしました。市町村の保健師さんとともに患者さんのところに訪問したり、地域の医療従事者を対象にした研修を行ったり、と地域で暮らす患者さんや市町村に対する支援を中心に、保健師として経験を積みました。県の保健師の仕事としては、直接住民の方に関わることは少ないので、実際に住民の方と触れ合い、個別の関わりが実践できたこの3年間は、自分の強みになりましたね。

Q4 現在のお仕事について教えてください。

厚生労働省へ出向し、保健師の人材確保に関する業務に取り組んでいます。

 4年目の春からは異動で、高知県の保健師として厚生労働省(霞ヶ関本省)へ出向し、“健康・生活衛生局健康課 保健指導室”という部署で勤務しています。この保健指導室での保健師業務は主に“健康危機管理”と“人材確保・育成”の2つに分かれていて、私は現在、後者の人材確保・育成に関する取り組みを行っています。

 高知を含め小規模の自治体では、募集をかけても保健師の応募がない状況です。今実際に担当している事業は、自治体における保健師インターンシップの推進。具体的に言えば、自治体に対して、こんな風にインターンを募集してみたらどうかという内容を記載した手引きを作成しています。自治体からはインターン受け入れが出来る期間に行っている保健師事業がないから、とためらわれる声もあるのですが、保健師を目指す学生さんからすると仕事内容は実習でみられるので、それよりも就職する上で大事な“職場の雰囲気”が知りたいという声が多いのが現状。なので、実際にインターンを受け入れた自治体では、インターンに来た学生がその自治体を気に入ってそのまま就職につながるというケースもあるんです。就職先として視野に入れるというのは、その自治体が実際にやっている事業よりも、その職場の普段の様子を知ることや、働いている保健師さんと実際に話せることの方が重要視されているんですよね。それを自治体にも理解してもらって、職場の雰囲気を伝えることを重視した内容の組み立てが出来るようなインターン受け入れの手引きを、今まさに作っている最中です。

 

―県立大学の歴史とつながりを、国という大きな舞台でも感じることが出来ています。

 私が県立大学に進学を決めたきっかけに、歴史のある学校、という部分を挙げましたが、国の機関で働き始めてそれを実感することが多いです。

 研修の講師をお願いする際、全国規模で活躍する先生方にお声をかけていくのですが、なかには県立大学出身の方々も。「私も県立大にいたのよ」なんて声をかけてくれる方と話に花が咲いたりもするので、今まで県立大学が積み重ねてきた年月とネットワークの広さを、国という大きな舞台にいても日々感じています。改めて、県立大学で保健師を目指してよかったと思いますね。

 国の機関に配属されて初めは戸惑いましたが、これはこれで面白い経験が出来ているなと意識しています。人材確保や育成の面で日本全体、高知県以外の状況も見ていますが、規模感が違うだけで持っていきたい方向性は同じ。どうしても国という規模だと、個の部分は見えづらくなるので、そういう部分をイメージしながら、国の政策に関われることは、自分自身の次のステップへの足がかりになりそうです。

 厚生労働省での配属は2年間。あと1年と少し、ここでの貴重な経験を高知へ持って帰れるように精一杯頑張りたいです!

 

後輩のみんなにエール!

“保健師として働く”という選択肢を目指す方が、一人でも増えますように!

​ 県立大学は全国的にも珍しく、助産師を目指す場合を除き、誰でも保健師を目指すことができます。もちろん勉強は必要ですが、カリキュラム上は取得可能なので、なんとなく保健師も取っておこうという人もなかにはいます。看護師と保健師、働く上で2つの選択肢があるにもかかわらず、実際、保健師の実習は4回生に入ってからなので、実習が始まる頃にはすでに看護師としての就職先が決まっている人が多いんです。それってすごく勿体無いなぁって。だって、保健師の実習を終えた後に、この道でもよかったな!と思う人も実際いるんですよね。もう少し早く視野に入れられたら、保健師として働くことを選択した人ももっとたくさんいるんじゃないかなって、今の場所で働き始めて思うようになりました。

 保健師としての働き先は一般的に自治体のイメージが強いですが、企業で働く道もあります。私のように県からの出向で、国の機関で働く場合もあります。きっと思っているよりずっと保健師として働ける場所は多いので、せっかく頑張って資格を取るのであれば、ぜひ一度、保健師はどんなことをするのか、何ができるのかという部分にも興味を持ってもらって、働く選択肢に入れてもらえたらなと思います。

※所属・職名等は掲載時点のものです。