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高知ならではの郷土料理や人の温かみに触れて。

ページID:0035986 更新日:2025年3月4日更新 印刷ページ表示

当時興味のあったものと大好きな“食”を学べる管理栄養士を目指すため、愛知県から高知県立大学に進学した中村栞緒里さん。大学生活を満喫した後は、病院と保育園で自分に合った管理栄養士を模索し、自分のやりたい方向性を見つけました。現在は、地元愛知県の地域に根差した病院で管理栄養士として、新しいことにも挑戦し始めています。​

中村栞緒里様写真1

【Profile】
中村 栞緒里 さん​
公益財団法人 豊田地域医療センター
2020年 高知県立大学健康栄養学部健康栄養学科卒業

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Q1 本学に進学を決めた理由を教えてください。

“乳酸菌“も“食”も学べる管理栄養士になりたい!と思い、条件にも当てはまった高知県立大学を受験しました。

 高校2年生くらいの進路を考え出す頃までは、これ!といった希望はなかったのですが、元々食べることが好きで、“食”には興味がありました。本当に唐突になるんですが、その頃ってヤクルトがいろんなバリエーションの商品を出したぐらいの時期で、よくC Mが流れているのを目にしていたんです。画面越しに乳酸菌が動いているのを見て、乳酸菌ってすごい!もっと知りたい!と思ったのもきっかけの一つでした。加えて、祖父が胃がんを患い、食べられなくなったこともあって、何か自分に出来ることってないかと考えたときに“乳酸菌”も“食”も学べる管理栄養士っていいな!って、ひらめいたんです。

 そう思って管理栄養士養成課程のある学校を探したのですが、それまで住んでいた場所は愛知の都市に近い住宅街で、都会というほどではないものの、高校生ながらに心も身体も疲れた感じがしていて、行くなら地方が良いなと思っていました。食べることが好きなので、知らない郷土料理があるところで、自然がいっぱいあって、なんとなく日本の西側がいいな、なんてふわっと考えていた私の希望にマッチしたのが、行ったことのない高知県。実際に受験で訪れたとき、高知駅から降り立って見た風景が、ヤシの木はあるわ、街中に流れる川が綺麗だわ、と驚きの連続で。またその日が日本晴れだったので「私、高知県に迎え入れられてる!」なんて思っちゃいました(笑)それからはもう高知の虜でしたね!

 

Q2 どんな学生生活でしたか?

勉強だけでなく、部活にアルバイトに打ち込み充実した4年間は、今でも私の誇りです。

 お世話になった恩師からすると、私は遊びすぎって言われるタイプなのですが、勉強も部活もアルバイトもいろいろ出来て、本当に充実していたと今でもみんなに自慢しています。勉強は元々文系だったため、化学に本当に苦戦しましたが、部活の同期が高知大学の理工学部にいたので、助けてもらいましたね。他の科目も、同級生が「ここは大事だよ」とか「先生が話していたところだよ」などと教えてくれて、そこをおさえて頑張りました(笑)先生にも、友人にも、本当に恵まれた環境でした。卒業して3、4回ほど高知に行きましたが、その都度みんな集まってくれるので、高知はあったかいなって毎度ながら感じています。

―印象に残っていることはありますか。

 私は元々、全国各地の文化を取り上げている“秘密のケンミンSHOW”というテレビ番組が好きで、特に“食”についての内容を興味津々に見ていました。自分の知らない土地のいろんな食べ物が出ては、食べてみたいな、作れたら面白そうだなと妄想したりして、その番組で高知の食べ物も知りましたね。ウツボに、ぬたに、いたどりに。実際に高知に来て、そういう食べ物を食べたのも新鮮でしたし、高知市の中心部に住んでいたので、毎週日曜市に買い出しに行っていました。日曜市を歩くと、ありそうでなかった芋天の屋台や、冬だけの大きな柑橘、文旦が並んでいたり、なんだか日本だけど日本じゃないような雰囲気に初めは圧倒されましたね。日曜になると、知らないものに出会えるかも、と思ってルンルンで日曜市に出かけ、帰ってきたらその食材を使って調理して。あの頃はこのルーティンが楽しくて仕方なかったです。

 大学の実習でも、皿鉢料理など高知ならではの郷土料理を地域の方と一緒に作ったり、味噌を一から仕込んだり、作物の収穫をしたり、という“地域学実習”がありました。学内の実習でも、郷土料理を作ることはあったのですが、実際に地域に出て、地域の方と一緒に作るというのはなかなかできない体験なので、私にとっては印象的で、すごく楽しかった思い出です。

 中村栞緒里様写真2​ 中村栞緒里様写真3

(写真)学生時代の友人と。ユニバーサルスタジオジャパン、1回生のバスバイクで訪れた桂浜にて。​

 

Q3 大学卒業後の進路のことを教えてください。

病院、保育園と2つの場所で管理栄養士の業務にあたり、自分のやりたい方向が見つかりました。 

 臨地実習では3つの病院に行きましたが、急性期病院はどこも忙しそうで、栄養管理が大変そうだなという印象でした。ですが、そのなかの1つの病院は、規模も少し小さく、急性期をすぎた患者さまが入院してくる病院で、働いている人の雰囲気も柔らかく、空気感が良いなと感じましたね。高齢者が多いなか、どう栄養管理をしていったらいいのか、といろんな職種が集まってカンファレンスをしている様子を見せてもらって、患者さまをいろんな角度からみることの大切さを体感し、自分の進路は「病院だ!」と思ったんです。

 大学を決める段階では“乳酸菌”に興味がありましたが、2回生の時に食品開発の現場も経験したものの、その方面より病院の方に心惹かれましたね。なので、実習でいろんなところを見せてもらったのが、進路を決める上でもありがたかったです。

 地元にはまだ帰りたくないなと思っていたので、卒業後は千葉県にある病院へ就職しましたが、そこは調理がメインの仕事内容だったので、ふと自分は調理がやりたかったのか?と思い悩むようになってしまいました。後々栄養管理にも携われるとは聞いていたのですが、日々仕事をしていくなかで本当に私は病院で働きたいのか、って疑う気持ちがもう止められなくなってしまって。このままじゃいけないと思い、9ヶ月という短い期間ではありましたが、一回病院から離れようと決意しました。

 その次は、少し方向性を変えて東京のある保育園に就職しましたが、入って2ヶ月くらいで「あ、違う」って感じちゃって。調理、献立、食育にも携われて、仕事内容は申し分なく、子どもたちと遊ぶのも楽しかったのですが、自分が関わりたいのはこの世代じゃないと気付いたんです。子どもから元気をもらうばかりだったので、私はもらう側じゃなくてあげる側になりたい、と病院と保育園両方で働いてみて、やっと自分のやりたいことが明確になりました。

 短期間で転職してしまった手前、何か身に付けないと病院に就職は難しいと思ったので、保育園で働きながら“健康運動指導士”や、東京都の“糖尿病療養指導士”の資格を取得。2年7ヶ月勤めた保育園を退職後、病院の現場に戻ることになったんです。

 

Q4 現在のお仕事について教えてください。

地元・愛知県に戻り、病院の管理栄養士として再スタートしました。

 2023年の秋から愛知県にある“豊田地域医療センター”に管理栄養士として転職しました。前職の保育園は東京の品川区にあったのですが、やっぱり自分に都会は合わないと感じていました。今さら地元以外にこだわることもないかと思って、最初に見つけたのがこの病院。病院の機能的にも急性期すぎず、大きすぎず、地域の皆さまを大事にするという理念が、自分の考えと合っていると思ったので、ここに決めました。

 仕事内容としては、入院患者さまの栄養管理はもちろん、栄養指導については外来患者さまや入院患者さまだけでなく、病院に来られない方の自宅にも訪問しています。あとは、地域の方々向けに健康教室を開催したり、入ってまだ1年ちょっとですが、いろんなことに挑戦させてもらっています。

 

―これからは高齢の方だけでなく、いろんな年代の方と関われるような栄養士になりたいです。

 この秋からは病院としての新しい取り組みを、私主導で始めさせてもらっています。それが、栄養科から地域の皆さまに対する“えいようだより”という情報発信。通常、栄養指導や相談に来るのは、病気にかかって、医師から栄養指導の指示が出た方なのですが、実際そういうことに該当しない方が、栄養相談室の前に来て「こういうこと知りたいんだけど教えてもらえない?」って声をかけてくださることがあって。そういうのを何度か経験したので、誰でも気軽にアクセス出来る栄養に関する情報があったらいいなと思いました。ちょうど年間通じてどんなことをしたいか目標を立てる機会があったので、こういうことをしてみたい!と思い切って上司に相談してみたら、挑戦させてもらえるようになりまして。表面は栄養のこと、裏面はレシピを掲載した一枚の紙ものにして、たとえ栄養には興味がなくても裏面のレシピは作ってみよう、って気軽なところから働きかけが出来たらなという意識で作っています。月1回発行なので、まだ数回しか出来ていませんが、病院での配布、公式LINEでの配信、病院のホームページなどを使って、どんどん地域に広げていきたいと思っています。

 加えて、最近病院にアレルギーセンターが開設されたので、そちらの勉強にも励んでおり、2024年度食物アレルギー分野管理栄養士の認定審査に合格しました。ずっと高齢者が対象でしたが、今後は小児やその家族への対応も必要になってきますので、どんなふうに伝えたらいいのか、まだまだ勉強していかないとですね!

■えいようだより
https://www.toyotachiiki-mc.or.jp/section/eiyo/(豊田地域医療センター 栄養科のホームページへ)

えいようだより(令和7年3月1日発行分)1枚目 えいようだより(令和7年3月1日発行分)2枚目 えいようだより(令和7年2月1日発行分)1枚目 えいようだより(令和7年2月1日発行分)2枚目

※クリックすると大きく表示されます。

 

後輩のみんなにエール!

県立大学は、自分の興味を確かめられる場所だと思います!

中村栞緒里様写真4 私もそうでしたが、県外にでる不安って大きいと思います。ただ、高知という土地柄もあってか、県立大学は先生も、周りの学生も本当にあったかい人ばかりで、持っていた不安ごと包み込んでくれました。なので、勉強、勉強といった気持ちというよりは、大自然のなかで大学生活を謳歌することが出来る環境を与えてもらっていましたね。やりたい!と思ったことも制限されることなく挑戦できる大学なので、自分のやりたい気持ちを大事にしてもらえたらいいのかなと思います。私は今もお世話になっている恩師と、この大学で出会えましたが、間違ったり、悩んだりしたときはその都度恩師に相談して、軌道修正してもらえたからこそ、今の道に辿り着きました。周りのサポートもありながら、興味を持って栄養の道を突き進めるし、興味を持ったものなら別のことをしてもいいと思うし、それを確かめることのできる大学だと思います!

 私は県立大学に進学したおかげで、今でも高知が大好きです!

※所属・職名等は掲載時点のものです。