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学問としての看護を学ぶために、 自己研鑽に励んだ2度の大学生活

ページID:0035087 更新日:2024年12月25日更新 印刷ページ表示

高校卒業後、看護学部へ進学した大﨑杏奈さん。大学卒業後8年間、看護師の資格を活かして働き、2016年に大学院へ進学。現在は高知赤十字病院に所属し、専門看護師として院内外問わず教育活動を担っています。​

大﨑杏奈さんの写真1枚目

【Profile】
大﨑 杏奈 ​さん
高知赤十字病院 救命救急センター病棟ICU急性重症患者看護専門看護師
2008年 高知女子大学看護学部看護学科卒業
​2018年 高知県立大学看護学研究科博士前期課程CNSコース修了​

 

Q1 本学に進学を決めた理由を教えてください。

​看護の奥深さを知り、もっとじっくり看護を学びたいと思いました。

 元々母が医療職に携わっていたこともあり、看護師という職業は私にとって小さい頃からの憧れでした。母子家庭で経済的な不安もあったので、最短で看護師を目指そうと、衛生看護科のあった高校へ進学。高校で3年、専門学校の専門科で2年学ぶ、5年コースが当時の最短ルートでしたが、高校生活の早い段階で看護の奥深さを感じ、学問としての看護を、じっくり時間をかけて学びたい、と思うようになりました。私が在学していた時は、県内高校の衛生看護科から高知女子大学(現・高知県立大学)の看護学部への推薦枠があったので、母と相談し、その特別枠を目標に努力した結果、晴れて大学へ入学することができました。

 

Q2 どんな学生生活でしたか?

授業や実習で大忙し!高校の時に学んだ看護と、大学で看護学として学ぶものは深さが違いました。

 看護師と保健師資格、どちらも目指すので、常に勉強!実習!の目まぐるしい日々でしたね。いわゆる “キャンパスライフ”というものとは、かけ離れていました。でも、40人1クラスだったこともあり、先生との距離も近く、皆で一丸となって合格を目指したので、楽しい思い出もたくさんあります。

 一般科目は進学校出身の友人たちが、看護分野は高校から学んできた自分が、とお互い助け合って学びました。共通科目で哲学や中国語を専攻し、時々永国寺キャンパスにも行きましたが、それが楽しくて息抜きになりました。

―印象に残っている学びはなんですか。

 実習を終えると、どんな学びがあったかをレポートにまとめるのですが、それには表面的なものだけでなく、その対象者の経験を深く振り返ることが必要でした。

 一人で考えると辛い時もありましたが、クラスの皆でそれぞれの考えを出し合い、ディスカッションをして進めることで、より深い学びを得ることができました。

 日々のレポートに課題、卒業研究。高校の時に学んだ看護と、大学で看護学として学ぶものでは深さが違うなぁと実感することも多く、この経験が、深く物事を捉える力、言語化する力を養ってくれたと感じています。

 

Q3 なぜ、専門看護師を目指そうと思ったのですか?

大﨑杏奈さんの写真2枚目現場での経験を経て、もっといろいろな角度から実践を捉え直したい、と更なる専門知識を求め、大学院へ。

 大学を卒業後、6年間臨床で看護師として働きましたが、看取りの患者さんへの対応が多く、その度に自分の関わり方はこれでよかったのか、と漠然とした不全感が残っていました。そんな気持ちの積み重なりから一旦、距離を置いた方がいいと、臨床現場を離れることを決め、母校である県立高校看護科の看護教員に転職。

 2年間、“看護教育”の分野を経験し、もっといろいろな角度から実践を捉え直したいと、大学時代から頭の片隅にあった大学院への進学を決意し、2016年に看護学研究科 博士前期課程 C N Sコース・クリティカルケア看護学領域へ入学しました。

 大学院の2年間は本当に大変で、後にも先にもこんなに勉強することはないだろうというくらい勉強に打ち込みました。自分自身に向き合うことも多く、あの2年間があったからこそ、看護師としてのぶれない軸が持てたと思います。

※クリティカルケア看護:生命の危機的状態にある患者やその家族、集団に対して、速やかに恒常性の回復や維持を図り、QOLや自律性の向上を目指して行われるケア

 

Q4 現在のお仕事について教えてください。

急性重症患者看護専門看護師として、ICUでの治療後に生じる身体や心の問題に対するケアと向き合っています。

 大学院修了後は、元々働いていた高知赤十字病院に再就職しました。現在は、I C U(集中治療室)に所属しながら、”急性重症患者看護専門看護師”として活動しています。

 今、最も軸にしているのはP I C Sに対するケア。

 ICUで一命をとりとめた後、一般病棟に移って退院できても、身体障害、認知機能障害、メンタルヘルス障害の発生によって社会復帰できない人がとても多いという研究結果がでていて、それが昨今のクリティカルケア看護領域で大きなテーマとなっています。

 基本はI C U病棟で通常業務を行っていますが、月に一度、専門看護師としての活動日を設けてもらっているので、I C Uから一般病棟へ移った患者さんへの個別訪問や、他部署との連携などを図り、病院全体での包括的ケアを目指しています。

 また、その活動の繋がりで勉強会、症例検討会、学会発表などと院内外問わず、教育活動にも携わることができています。

 大学生活で培った、一つのことを突き詰める姿勢や自分の考えを言語化して伝えられることが専門看護師としての“今の自分”に活かされていると感じます。

※ICU : 生命の危機に瀕した重篤な患者を治療する特殊病棟
※PICS:集中治療後症候群(重症疾患後に発症する身体・認知・メンタルの障害)

 

かけがえのない絆を大学で手に入れることができました。

バスハイクの写真​ 大学時代の友人とは、今でもやり取りが続いています。

 普段はなかなか会えなくても、何かあったときは必ず話を聞いてくれるし、精神的に繋がっている気がします。一人だけど一人じゃない、そういう場があって本当に良かった。あの密な大学4年間のおかげで、かけがえのない仲間、絆ができました。

 

(写真)1回生の時に参加したバスハイクにて。看護学部時代の友人は、今でも連絡を取り合う仲です。

 

後輩のみんなにエール!

県立大学での「今」を全力で過ごしてほしい!

大﨑杏奈さんの写真3枚目 私は今、たくさんの仲間に支えられながら、仕事と育児の両立ができ、充実した看護師生活を送っています。

 学生の頃には、今の自分の姿は全く想像できませんでした。先が見えなくて、不安を覚えることもありましたが、先が見えてないからこそ思いっきりチャレンジができるんだと思います。看護師はいろんなキャリアの積み方があるので、いつでも、どこからでも、どんな学び方でも、自分次第で挑戦できる。先を見るのも大事だけど、今やっていることが将来必ず自分の土台となって支えてくれるので、“今の自分”を大事にしてほしいです。

※所属・職名等は掲載時点のものです。