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国際保健に関する特別セミナーとして、昨年に引き続き、NPO法人HANDS理事の藤井千江美さんに講義をしていただき、看護学部と看護学研究科の学生が参加しました。
藤井さんは以前、JICAの専門家として西アフリカのシエラレオネのカンビア県地域保健行政マネジメント強化プロジェクトでの活動をされており、その経験から、文化的側面を配慮した看護や、海外から支援をするとはどういうことか、実体験をもとにお話ししていただきました。講義の中では、内戦が続いたシエラレオネの少年兵や被害者の実際の体験を聞かれたというお話もあり、日本で経験する自然災害以外にも、世界には感染症や紛争、貧困など、様々な課題が山積していると再認識しました。2015年のエボラ出血熱の流行後、感染症から回復した人に対する偏見など、新たな問題が生じている現状があるそうです。このような課題を知り、感染症への取り組みには、人々に届けられる情報の正確性が重要であり、教育の重要性を感じました。このような健康や教育の課題がある中で、看護師の役割が重要であることがとても印象的でした。カンビア県は、医師の数が非常に少なく、また、3000人の村民にひとりの看護師がいるのみという、医療保健人材が特に少ない地域だそうです。看護師は多忙な状況の中、村人の健康問題に対応し、研修を受け、診療所の環境を整えることまで、ありとあらゆることをしているそうです。
支援物資のアクセスに関する事例について、住民や地域の保健担当者のニーズとのマッチングの必要性、継続的な支援のあり方などについてディスカッションしました。リーダーシップの視点、マネジメントの視点、地域保健の視点などから質問や意見が出され、支援のあり方、組織のコーディネーションや戦略の立て方など、もっと議論したいと感じました。今後も世界の課題を知り、看護の専門家として私たちに何ができるのかを考えていきたいと思います。