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高知県香美市土佐山田町佐岡地区は、9つの集落より成る人口600人弱の地区です。
秋晴れの日曜の朝9時、防災無線からサイレンが鳴り、地区の住民が続々と集まってきました。ご夫婦で、近所の方と連れ立って、中には小さな女の子を連れた方もいらっしゃいました。 訓練のために集まった40名の地域住民の方々とともに、この地域で災害が起こった際の行動を具体的にイメージするワークショップを行い、私もグループワークのファシリテーターとして参加しました。 グループワークは、「冬の夜中に巨大地震がきたら」「真夏の昼間に大雨で土砂崩れが発生したら」、このふたつの想定について、2グループに分かれて話し合いました。
参加者の皆さんからは、「避難、ていうても支度するのに2、30分はかかるかねぇ」「集まったらまずはみんなの顔見て、誰が来てるとかどこは大丈夫とかって声かけるだろね」「井戸はあるけど停電したらくめんねぇ」「あそこが崩れたらうちはたぶんだめだから、〇〇さんちに食べ物分けてもらおうかぁ」「お米はどこの家にもあるし」「海のほうで津波がきたら、こっちに助けが来るのは何日後やろ」「大雨だったら、土砂崩れの前に大雨警報が出てるはずよねえ」「(地図を指して)この道が通れんようになったらここは孤立やなあ」等々、地域のことを熟知しているからこその意見が非常に多いと感じました。これらの住民さんの意見から気づかされたことは、地区のほとんどの人が顔見知りで、声の掛け合いでの安否確認が可能である地区であるということです。
そして、具体的にイメージしたからこその、ご意見もたくさん出ました。「インスタントの食べ物があったら便利やねぇ、でもそういうの普段使わないから誰も持ってないわ~」「公民館のカギは誰が開けてくれるの」「ここ(コミュニティセンター)に家族ごとに備蓄したら、身一つで逃げてきても安心じゃない?」「井戸の水は飲んでもいいのかね?」等々。これらの意見はこれからの地区防災に重要なことだと考えます。 今回、地震と土砂災害という2種類のシーンを想定しました。地震は予告なく発生し、大雨は徐々に被害が出てくる、といった災害の特徴が、実際の行動にも影響するということが住民さんからの意見にも反映されていたように思います。
地区では、今回イメージした行動をもとに、地域防災計画の策定へとつなげていくことも視野に入れているそうです。実際に災害が起こった時に命を守ることのできる防災計画づくりに継続して関わっていきたいと思います。
4期生 伏見木綿子