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令和7年4月4日(金曜日)、高知県立県民文化ホール オレンジホールにて、令和7年度入学式を執り行いました。
今年度は4学部(文化学部・看護学部・社会福祉学部・健康栄養学部)に計361名、大学院(看護学研究科・人間生活学研究科)に計33名の総勢394名を迎えました。
式では入学許可が行われた後、甲田茂樹学長が新入生に向けての式辞を述べました。
新入生を代表して、社会福祉学部 社会福祉学科 広瀬 由和さん、人間生活学研究科 博士前期課程 甲斐 恵梨香さんがそれぞれ宣誓を行いました。また在学生を代表して、看護学部 看護学科 伊藤 優さんが歓迎の想いを伝えました。
入学式終了後は、学部生の保護者説明会が行われました。
入学されました学生の皆さん、ご家族の皆さま、誠におめでとうございます。
関係各位から多数ご祝電やご祝辞をいただきました。誠にありがとうございました。
高知県立大学の一員として新たな一歩を踏み出された、文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の学部生、看護学研究科、人間生活学研究科の大学院生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本学の教職員一同、心より皆様を歓迎いたします。
そして、この日を楽しみに心待ちにされてきた、ご家族および関係者の皆様にも心からお慶びを申し上げます。また、ご臨席いただいた、ご来賓およびご列席された関係者の皆様方には、本学の教職員を代表して、深く御礼申し上げます。
本学は、1945年高知県立女子医学専門学校として開学したことに始まり、2011年に男女共学の高知県立大学として改組され、今日に至っております。少し見方を変えれば、本学の歩んできた道のりは戦後80年の歴史そのものです。本学は理念として「平和な社会の発展及び人々の生活の質向上に向け、知の創造に寄与する学術研究を行うと共に、地域志向の教育研究を通じ、地域の文化の発展と健康・福祉の向上に貢献すること」を掲げてきました。平和な社会の構築と豊かな地域文化や健康的な日常生活を確立することは、戦後の混乱期からの回復を目指す上で重要でした。現在に至るまで、地域社会に貢献できる人材の育成と排出、地域社会を豊かにする科学的な研究成果の情報発信に邁進してまいりました。
さて、戦後80年経過した現在の日本社会を振り返ると、人口減少に起因する少子高齢化、老朽化する地域インフラ、先細る地域社会のネットワーク、希薄化する地域住民同士のつながりなど、戦後日本の復興エンジンが逆回転し始めているかのようです。
一方、国際情勢に目を向けると、地球レベルで深刻化する温暖化による異常気象・自然災害・生態系の変化は私たちの生業や安全な社会生活、安定的な食糧供給、健康的な生活環境に悪影響を及ぼしています。さらに、直近の国際紛争であるウクライナ侵攻やガザへの侵攻などは依然として収まる気配を見せていません。
このような、どれをとっても一筋縄ではいかない内外の難題に向き合う際、「今、何が起きているのか」「今、何が求められているのか」、様々なチャンネルを駆使して、冷静に信頼できる事実や情報を広く収集し、自らの判断や行動の参考にする必要があります。
皆さんは、大学内外での学びを通じて、日々進歩する科学技術、グローバル化・実用化するデジタル技術を使いこなし、課題の解決策を模索していくことになりますが、時には、踏みとどまって考え直す必要も出てくるでしょう。このプロセスにおいて、学友や教職員、地域活動で知り合った方々と大いに意見交換して、自分を磨いて下さい。
高知県立大学は、これからの10年を見据えた10年戦略「UoK Vision 2033」を掲げています。「大学での4年間の多様な学問の学びと多様な交流や経験を通じて自らのアイデンティティを育てる」「高度な専門知識や実践での学びと経験をベースに社会へ羽ばたく優秀で実践的な人材を送り出す」「『地域共生社会を支援する実践的な教育・研究』を通して『人や地域とのつながり』による社会課題解決に寄与すること」を目指します。
そのためにも、大学生の皆さん、多岐にわたる事実や知識を背景に、思索する技法・能力を修得してください。このような大学での学びの経験は、自らの未来を切り開く大きな力となります。本学の大学案内の冒頭には次のように記されています。「知的好奇心をくすぐり、自分を成長させてくれる学問に出会えること。これこそ自分の未来を託すことができる最高の道標(みちしるべ)。これから始まる4年間が、10年後、20年後に輝いている自分にきっとつながるはず」と。
大学院生の皆さん、大学院は新たな知を創造し、学問を進めていくところです。学問は今までにない勢いでパラダイムシフトが起こっています。パラダイムシフトの中で、学問を深めていくために必要なことは、幅広く、多様な視点を取り入れながら、俯瞰的な思索に基づいて判断する事です。その上で、個々の専門性を磨き、関心を持った研究テーマをサイエンスとしてまとめ上げてください。
本学の教職員は強い熱意を持ち、皆さんの学びの歩みを、一緒になって考え、見守り、皆さんに伴走して支援していきます。
最後になりますが、入学生の皆さんが、元気よく、地域へ、世界へ、そして、学術の世界へ、挑戦していくことを期待して、私からの式辞といたします。
令和7年4月4日
高知県立大学 学長 甲田 茂樹