本文
令和2年度修了生 井治賢希さん
(日本ハムファクトリー株式会社 勤務)
私は、高知県立大学の健康栄養学部を卒業後、人間生活学研究科に進学しました。私の大学院進学の決め手は、学部の卒業研究で携わった研究を通して、研究の面白さに気がついたからです。私にはもともと、物事を突き詰めて考える力を養いたい、といった考えや、課題解決力や関連分野の知識を身につけたいという想いがありました。実は、学部4回生の時には就職活動もしており地元役場の内定も頂いていましたが、指導教官の渡邊浩幸先生との研究活動を通して、より短期間で成長できると考えたため、大学院への進学を決めました。
米の糠などに多く含まれるアシル化ステロール配糖体(ASG)という脂質成分が、高ショ糖高脂肪の太りやすい食事を与えた実験動物にどのような影響を及ぼすのか、脂質代謝という指標で明らかにしました。予備的な実験では、高脂肪高ショ糖と同時にASGを摂取することで、体脂肪の蓄積と体重の増加が抑制されることが分かっていました。私の研究からは、この効果には、抗肥満作用が報告されているFGF21という生体成分が関与していることを明らかにしました。具体的には、肥満になるとFGF21が作用するための受容体の発現が少なくなることでFGF21が機能しにくくなりますが、ASGがあることで、受容体が正常に発現し、FGF21の抗肥満効果が機能するようになるという内容です。FGF21に関するこれらのメカニズムや組織間のクロストークについての報告はこれまでになく、私の研究による新たな発見です。これらの内容は、学会での研究発表や特許出願に繋がりました。また、論文についても投稿準備中です。
人間生活学研究科は、人間生活に関連する「栄養・生活学領域」「社会福祉学領域」「文化学領域」の3つの領域がある研究科で、私は栄養・生活学領域に所属していました。大学院生と聞くと、研究に専念しているイメージを持つ方もいるかもしれませんが、講義を通して知識を広げたり深めたりする時間もあります。人間生活学研究科の講義の特徴として、他の領域の方々と一緒に学び、議論を重ねることで、専門領域の内外への理解を深めることができる、ということが挙げられます。私も、講義を受ける中で、同じ議題に対しても領域が違う人同士では受け取り方や考え方のアプローチが異なっていたことが印象的でした。自分とは違った専門性を持つ方との交流を通して、多面的な視野を持って学ぶことができたのは大きな経験になりましたし、人間生活学研究科に所属していて良かったと思いました。
人間生活学研究科は、講義が土日祝日に集中しています。そのため、社会人の方でも、在職したまま就学することができるのが特徴です。また、私のように、大学院1本で頑張る!といった人にとっても、平日は研究やアルバイトに専念できる環境があります。先生方や大学事務の方々のご理解・ご協力も手厚かったと、私は感じています。こうしたい、こうなりたい、という願いを実現する環境が、人間生活学研究科にはあります。
気になった方は、資料請求をしてみたり大学への連絡をしてみてください!
イタドリの研究に関する座談会の様子が掲載されました。
(2019年9月発刊)
※クリックすると大きく表示されます。
2019年4月15日、イタドリ葉の乾燥粉状物質およびその製造方法に関する特許申請にかかる記者発表を行いました。
※詳細はこちらをご覧ください。