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老人看護学領域では、「高齢者がこれまで培ってきた力、もともと持っている力を最大限に発揮できることを支援する」看護を探究しています。自らの老いと向き合ってきた高齢者による疾患や障がいとの「折り合い」、独居や高齢世帯の「日々の安心」、認知症高齢者の「意思の尊重」、終末期に関する「意向の表明」、高齢者に対する「偏見へのチャレンジ」等々が、これまで修了生達がとりくんできた課題です。
また領域研究では「認知症高齢者のケア」、特に急性期医療の中での「認知症高齢者にとっても看護スタッフにとっても『安楽なケア』」をテーマに研究を行ってきました。認知症の正しい身体的・心理社会的理解は的確なアセスメントに繋がり、その人を深く知ることはケアの豊かな個別性を産み出します。またその人の歴史を知ることは他の様々な職種との協同を産み、その人の今後の人生を照らすことに繋がるかもしれません。
「その人はどこから来てどこにいくのか」「人生がその人らしく全うできるように看護(学)が何をすべきか」。老人看護学領域では、そのような老人看護の高度実践について探求できる高度実践家を育成します。
老人看護学領域ではこれまで、高度実践看護師コースからは老人看護専門看護師を輩出し、超急性期病院から地域包括ケア病棟、認知症治療病棟を持つ地域の精神科病院など、高齢者ケアの第一線で活躍しています。また看護基礎教育の教員や介護保険施設・在宅のケアマネージャーなどの実践家は幅広く学べる実践リーダーコースで学び、各組織で活躍しています。
修了生対象の勉強会や研究会を通して、お互いにネットワークを広げ、活動の幅や新たな知見・人脈が広がる活動も行っています。
急性期医療機関では益々専門特化され、在院日数が短くなっています。一方で高齢者の認知症ケア加算やせん妄ハイリスク患者ケア加算など、専門性の高い看護ケアが社会的に評価され求められています。また認知症治療病棟やグループホーム、介護医療院や地域包括ケア病棟、訪問看護からデイサービスまで、様々な役割機能を持ったケアの場が増え、様々な場所で高齢者に対する高度実践看護とその連携が必要とされています。一人一人の高齢者の人生を支えるため、あなたもこれからの日本をかえる老人看護専門看護師をめざしてみませんか。
・老いや疾患、障がいとの「折り合い」に関する研究、
・日々の生活の「安心・安寧」を支える看護に関する研究、
・高齢者の「意思の尊重」「意向の表明」に関する研究、
・高齢者ケアのエビデンスを明らかにする研究、
・急性期病院における認知症高齢者のケアに関する研究
高知県立大学大学院看護学研究科博士前期課程
老人看護学 教授 竹崎 久美子
〒781-8515 高知県高知市池2751-1
Tel:088-847-8705
e-mail:takezaki@cc.u-kochi.ac.jp